春だ!桜だ!花見しようぜ!地下温泉!

春だ!桜だ!花見しようぜ!地下温泉!その2

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妖怪アパートの地下、そこには、天然温泉の岩風呂がある。

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岩壁は異世界通路

その地下温泉からは、なんと横にこうこうと輝くお月さま付きの、それは勢いよく流れおちる滝なんてものも見え、風情たっぷり、情緒たっぷりの地下温泉エリア。

滝はオレが修行にも使ってるんだが、それだけじゃない、ここからは、いろんな所への道があるんだ。

一見岩壁が続いているようでも、そこのどこかから、一面のススキ野原に続く道があったり、岩陰からの道を通って出たら雪原だったりと、それは不思議なエリアなんだぜ。

今回は、その滝の裏側から繋がっていた桜林を、宴会好きの画家の深瀬さんが見つけてしまったから、もう、これは止まらない!

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っていうことで、妖怪アパートに今いる全員(きっとあとからどんどん増える)で、お花見をすることになった!

滝の裏側なんで、洞窟内は濡れていてツルツル。歩きたいというクリを肩車をして、長谷はいつもどおり、クリに甘あまな、サンデーパパを自作自演中(笑)、いや、演じてはいないな、あれは、本心だ。

「うっわあああああ!!」

え?なんだなんだ?

先を行くみんなの歓声に何かと思って慌てて駆けていけば

うわあああああ!

地下洞窟の向こうには、青空が広がっていた

なんと、そこは見渡す限り、真っ青な青空!

そして、その青空に映えわたる満開の桜の花!

地下洞窟だから、明りの無いところは暗いんだよな、だからそこから繋がっているところは、やっぱり夜だろうと思ってたんだが……(ススキケ原や雪原はそうだった)

それが、なんと、青空だなんて!

大家さん、あんたは、いったいどういった種族の妖怪なんだ?

もしかして、世界も作れてしまうってかぁ?

スゲェぜ、大家さん。もう尊敬するしかないッス。

桜並木が続き、嫌いなピンクの花びらが舞うなか、オレ達は宴会を始めた!

「るり子さんっ!この花見団子、何でできてんすかっ?!ほっぺた落ちそうッス!」

「こっちの桜餅も絶品だよぉ~~!!!」

「おーい、酒、もっと持ってこーーい!」

「人に頼まないで自分で取りに行…」

「んだとぉ?」

「…はい、取ってきます、喜んで…」

相当アルコールが回っている深瀬さん。とてもじゃないけど、あのパワーで来られたらオレなんか、簡単に吹き飛ぶ。

「がーっはっはっはっは!」

「はーい、クリちゃん、おいちいでちゅねー、こんどはどれにちまちゅかぁ?」

るり子さんが作ってくれた豪華お重を前に、長谷はすっかりパパモード。

「ママー、クリちゃんが桜パフェほしいんだってさー。るり子さんに作ってもらってきてくれる?」

「だ~~れがママだ!誰があ!!」

「そんなの夕士くんに決まってんじゃない!」

なんだよ、オレ一人使い走りか?

と舌うちして、しぶしぶアパートに戻ろうとするオレに声をかけてくれたのは、骨董屋さんだった。

「御苦労さんだね、少年。せっかくのお花見だ。キミも十分堪能したまえ。荷物運びは私に任せておきたまえ!」

「え?骨董屋さんが?」

骨董屋さんも一緒になって飲んで食べてるのに?と不思議そうな顔をしていたオレの前に、ホムンクルスだか人造人間だか操り人形だか、式紙だかわからない、黒子たちがアパートへ向かっていった。

「な、なるほどーーー。さすが骨董屋さん!」

思わず柏手を打ってしまった。

「少年よ、物事には臨機応変に当たらねば、損をするというものなのだよ?」

何か言い返したいと思ったが、何も思い浮かばなかった。

まー、いいか、お花見だもんな!楽しまなきゃソンだぜ!!

ありがとう、骨董屋さん!と素直にお礼を言って、オレはみんなの輪の中に入って行った。

「夕士くん、あとで、温泉一面に浮かべる桜の花びら集め、手伝ってねん♪」

はあ?…………

まり子さんにウィンクと共に頼まれたオレ。

なんぜオレだけ使役されんの?と思いつつも、そんなこといちいち気にしていても始まらない。っていうより、あの温泉一面って・・・どんだけ集めりゃいいんだろ?

なんだか気が遠くなるというより、みんなで集めて桜湯で遊ぶのも楽しいそうだ!なんて、オレはやっぱりお気楽人間なんだろうか?

まー、いいや、人生、エンジョイした者勝ちだぜっ!

「クリー!長谷とばっか遊んでないで、オレとも遊ぼうぜーー!桜並木の奥には、桜に囲まれた遊園地があるかもしれないぞお?!」

ふと頭に浮かんだそんなシーンを口にしたオレ。

え?そんなのあるか?と自分でも思ってふと奥を見やると、そこになにやら観覧車のようなものが?!

「おおー!稲葉!目がいいな!行こうぜ!な、クリ!」

「そうだねー、観覧車から見下ろす桜畑もまたオツなもんだと思うよー」

わいわいがやがや、一行は大宴会場から、遊園地へと向かって桜並木の道を歩き始めた。

まだまだ宴会は続くようだ。

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