SF星くず・星見人(Stardust-Stargazer)2・謎の漂流ポット

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悠々と大宇宙の海原を進む一隻の船。それは知る人ぞ知る一匹狼、悪名高き海賊イガラのスターシップ。

※SF星くず・星見人(Stardust-Stargazer)その1はこちら

SF星くず・星見人(Stardust-Stargazer)2・生きる屍

「おい、今何か言ったか?」

「にゃ?・・どうかしたか、艦長?」

「あ・・いや・・・・」

海賊船、ヨルムガドのコクピット。

中央にある船長専用シートに座っていたイガラ(呼称・本名不名)は、航海士フェムーンに、軽く聞いた。

航海士フェムーンは、キャシー星出身のいわゆる猫族と呼ばれている人種の持つ、そのぴんと横に伸びた長いひげをひくひくと振るわせ、そして、人類同様、進化と同時にその能力は劣化したものの、人類の10倍の聴力を持つと言われている耳をせわしく動かし、イガラに聞こえたらしいモノの傍受を試みる。

(助けて・・・)

「いや、やはり聞こえるぞ?」

「にゃ?・・・おいらっちに聞こえないのに艦長に聞こえるにゃか?そんなばかにゃ!空耳じゃにゃいっすか?」

艦長に聞こえて、フェムーンに聞こえない、確かにそれはおかしかった。
(しかし、それは、不死と噂される艦長が人類ならば、という過程上になりたつのであるが。)

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(う~~む・・・・・)
空耳だろう、いいから、スクリーンを見てろ!と、しっしっと追い払うような仕草でフェムーンを前に向かせ、イガラは考え込む。

(・・お願い・・弟を・・・・イザムを・・・助け・・て・・・)

ざっとまるで音をたてて立ち上がったかのように勢いよくイガラはシートから立ち上がる。

「いや、空耳じゃない。確かに女の声で・・・」

「にゃはははは♪艦長、それを空耳って言うにゃよ♪ここのところ航海が続いてるからじゃにゃいのか?」

「うるせー!少し黙ってろ!」
フェムーンを怒鳴りつけてから、イガラはじっと耳に気を集中する。

(・・助けて・・・誰か・・・・)

幾度となく繰り返される助けを呼ぶ女性の声。
今にも消えそうなその声は、いったいどこから聞こえてくるのか。

(・・・お願い、イザムだけでも・・助けて・・・・お・ね・・・がい・・・)

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「フェムーン、反転して船首を9時方向に向けろ。ワープ航路離脱、Nスペースへ出ろ!」

不意に何か電気ショックのようなものが彼の頭を走り、その瞬間に、声の発信源を感じたイガラは、迷うことなくフェムーンに命じた。

「にゃ♪9時方向に進路変更。Nスペース航路に出るにゃ。」

レーダーは何も写さず、ターゲットとなりうるお宝を積んだような貨物船もなさそうだ。が、そこは艦長の命令である。
咄嗟にその命令を復唱したフェムーンの指は、軽やかに操作パネルの上を跳ねる。

「10秒後にNスペースに出るにゃ。」

「よし!Nスペースに出たら、そのまま進路を維持しろ。速度50ノムまで落とせ。」

「アイアイサー♪」

「6時方向に緊急脱出ポットらしき飛行物体を発見!生命反応あり!」

操縦席の隣のシートに座っているナビゲーターのジッダが計器のモニタを見つめたままイガラに報告した。

「よし!誘導ビーム発射、貨物庫に誘導しろ!」

「アイ、サー♪」

「艦長、ナジュイル海域で戦闘があったようなんだけど。
方向からすると、どうやら、そこからのお流れ品みたいよ
・・・いいの?受け入れちゃって?」

イガラの方に顔を向けた通信士アカエラが苦笑しながら言った。

「ナジュイルか・・・利があるならまだしも、それも分からねーうちから、とばっちりをくらっても面白くねーからな、さっさとずらかるぞ。
フェム!急速反転してワープ航路へ突入!予定通り、ステーション・キオノスに寄港する。」

「アイアイサー♪」

「キオノスに行きゃ、戦闘内容の情報収集もできるだろ。」

サブスクリーンでポットが貨物庫に収納されたことを確認すると、イガラはコクピットを出て行った。

 

▼SF星くず・星見人(Stardust-Stargazer)その2につづく

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