SF・スペースファンタジー・SOS!・その4(完)・意外な結末

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SF・スペースファンタジー・SOS!

このお話は宇宙船ラーミア号に乗った見習ナース、サーヤのお話です。
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SF・スペースファンタジー・SOS!・その3・バナナ星人の実験

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SF・スペースファンタジー・その4(完)・意外な結末

目覚めればメディカルルーム

「よっ!サーヤ!」
目が覚めたサーヤが見たのはご機嫌そうなニムルの顔。

「えっ?あ、あれ?私たち助かったの?」

サーヤは慌てて回りを見渡した。
そこは、バナーナ人の実験室ではなく元のメディカルルーム。

サーヤはぼんやりした頭で考えていた。あれからどうなったのだろう?

「ニムルが助けてくれたの?」

「ぷっ、わーっはっは!」
面白くて仕方がないといった感じでニムルは吹き出し大声で笑った。

「な、何よ?」
まだ訳の分からないサーヤは、不思議そうにニムルを見ていた。
と、扉が開き、ドクターであるミス・ヘンリーが入ってくる。

「どお、サーヤ。気分は?」

「気分はって?えっ?いつ母船に回収されたの?」

驚いて目を丸くして聞くサーヤにドクターとニムルは顔を見合わせてくすっと笑った。

「な、何がおかしいんですか?」

真っ赤になってきつく尋ねるサーヤにドクターが笑いを堪えながら言った。

「ああ、ごめんなさい。
それね・・・全部夢なの。その機械のせいなの。」

「は?」

サーヤはドクターの指した頭の上のベッドに取り付けられた機械を見た。

「こ・・これって、精神波増幅装置・・?」

「そう、またの名を仮想世界体験装置。」

ドクターは謝るように顔の前で手を合わせて言った。
その横でニムルはまだ笑っている。

「ホント、楽しいよ、バナーナ人にオーレンジ人だもんな!傑作だ!」

「な・・ど、どういう事ですか、ドクター?」

サーヤがベッドに起き上がりきっとドクターを睨みつけているところに、船長のハラドが入ってきた。

事の次第を把握している彼は、事情も聞かず、サーヤに言った。

「すまん、すまん、サーヤ。
いやぁ、これは言わばこのラーミア号の儀式となっていてだね、誰しも最初の航海の時、丁度ホームシックになった頃、やられるんだ。」

船長もバツが悪そうに頭をかきながら言った。

「はあ?」
サーヤは呆気にとられて船長を見ていた。

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「俺も前の航海の時やられたんだ。
だけど、サーヤの発想って面白いな!
だいたい故郷の星とか家族や友人が出てくるもんなんだそうだけどさ、バナーナ人だもんな!
サーヤ、いくら船には果物のストックがないからって、あんな発想するか、普通?
余程果物が食べたかったんだな!全く食い意地の張った奴だ!」

ニムルがことさらおかしげにサーヤをからかう。

ようやくサーヤは理解できた。
今まであった事が全て、自分自身が作りだしていた架空の世界だったことを。
そして、初めの頃、どうしてニムルが『お前ってこういう趣味?』と言ったのか。

「ごめんなさいね、この機械があなたの脳波と同調した時、その世界の設定ができあがるようになってるの。
で、危険な事態に陥らないように、もう一人あなたと一緒にこの世界を体験できる人がいるわけ。
それと言うのも、精神的圧迫だけで、時としては死亡するケースもあるからなの。
で、今回のサポーターはニムルだったけれど。これも慣習に従っているのよ。」

すまなそうにドクターが謝る。

「な・・何でこんな慣習があるんですか?」
恥ずかしさで真っ赤になりながらサーヤは船長を睨んだ。

「ま、まぁ、何でと言われても困るんだが、定着してしまっていて・・だな・・」

船長は一つ大きく咳払いをすると続けた。

「つ、つまりだね・・宇宙はとてつもなく広い、そしてその航海は非常事態とならない限り単純な物なんだ。
任務に付いている限り、気を抜くことはできない。
が、その単調さでついつい気が緩んでしまったり、里心がついて何も手に付かなくなる事もある。
だから、時には・・その・・ピリッとした刺激が必要なんだ。それを・・」

「つまり、気分転換ってわけなんですか?で、でもそれって・・・ほ、他のみんなも見てたって事ですか?」
サーヤは真っ赤になって焦った。

「そういうことになる。」

サーヤは呆れ返っていた。
それまで畏敬の念を抱いていた船長が、その船長のイメージがガラガラと音をたてて崩れていく。

「悪気はないのよ、サーヤ。」

ドクターヘンリーが苦笑いをしながらサーヤの肩を軽く叩いた。

「わ、悪気はないって・・そ、そんなあ・・わ、私は必死で・・・
そ、それをみんな面白がって見てたと言うんですか?」

「それを言われると・・・言い訳のしようがないけれど・・でも活性剤にはなるのよ。
誰も笑う人はいないし、かえってあなたの事を受け入れやすくなるのよ。
つまり・・これであなたも完全にこのラーミア号の一員、家族って事になるのよ。」

そう言えば、この船に乗る前、確か一風変わった新入りの歓迎会があるって聞いた事があったとサーヤは思い出した。
が、まさかこんなのだとは思いもしなかった。

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「さあ、これからあなたの歓迎パーティーが開かれるのよ!楽しみましょう!」

サーヤがベッドから下りるのを手伝いながらドクターが微笑んだ。

「ニムルの時はどんなだったの?」

ニムルには何となくいつまでもからかわれそうで、自分が知らないなんて不公平だと思ったサーヤはニムルを睨むようにして言う。

「あ・・お、俺の時?・・・えっとぉ・・・」

焦って視線を逸らすニムルを尻目にドクターがそっとサーヤに耳打ちした。

「後で見せてあげるわ。」

「はーい、お願いします。」

サーヤはこれで平等だ、からかわれないぞ、と安心する。
あの焦り方からいくとニムルの場合も結構期待できそうだと思ったのだ。

「それにね、次の時はあなたが一緒に体験できるのよ。」

それは面白そうだ、今から楽しみだ、といたずらっぽく目を輝かせながら船長の差し出したその大きな手を力一杯握り、サーヤは握手した。

「どうやら許してもらえたようだな?」

「はい!でも、できたら他の人のも見たいんですが。」

「はっはっはっ!少しずつデータライブラリから見たまえ。
パスワードをそれぞれ本人から聞かなくてはならないが、なかなか面白いぞ!」

「はいっ!」

そして船長は今一度サーヤの手を握りしめるとにこやかに言った。

「改めて・・ラーミア号へようこそ!
ここは君の第二の故郷となるだろう!」

 

-完-
最後まで読んでくださりありがとうございました。
m(__)m

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