SFファンタジー・SpaceRogue星々の輝き8・スターパイロット試験のおちゃらけPC試験官

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バーを出るとその足で帝国政務次官オフィスに向かう。帝国認定スターパイロットの試験を受けるには、帝国政務次官の認可が必要なのだ。

「へ~、エリアが変わると、通路もまたまるっきり違ってくるんだ~」
ニーナに取ってヒアスラ級のスターベース始めて。なにもかもが珍しく、あちこち見ながら歩いていく。

緊張!帝国政務次官とご対面

オフィスに入ると、一人の立派な身なりの紳士がそこにいた。髪は銀髪、顔には勝ち誇ったような笑みを浮かべていて、いかにも政務次官といったいでたちだ。

「ようこそ。私はオレリアン。ヒアスラ皇帝の正式な代理人です。」

「は、初めまして・・。あ、あの、私、ニーナ・シャピロと申します。」

まさか皇帝直属の士官に会えるとは思いもしなかった彼女は緊張してしまった。

「ははは、そんなに緊張なさることはないんですよ。私は常に一般民とのふれ合いを大事にしたいと思っているのです。ですから、ここを訪れた方とは直接話す事にしているのです。さて、ご用件はなんなのでしょう、シャピロさん?」

オレリアン氏はにこやかに言うと手を差し伸べてきた。

「は、はい、ありがとうございます。
ニーナは緊張しながらも彼と握手をする。

「スターパイロットのライセンスをもらいたいのですが、どちらで申請すればいいのでしょう。」

「なるほど。スターパイロットのライセンスですか、では、あちらの部屋で試験を受けて下さい。何、ご心配なさるには及びません。簡単な試験ですから。部屋に入ったら、コンピュータの指示に従って受けて下さい。では、後ほど。」

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奥にあるドアを指し示すと、オレリアン氏はにっこりとほほ笑む。

「え?いいんですか?申請書類とか?」

「大丈夫です、どうぞお入りください。」

「は、はあ・・・(あ!)…は、はい、分かりました。」

あっけない対応に思わず気が抜けた返事をしてしまい、ニーナは慌てて言い直す。面倒なことがないのならそれに越したことはない。ここで礼儀を失して失格処分にでもされたら大変だ。

「では、失礼します。」

丁寧にお辞儀をすると、ニーナはどんな問題がでるのだろうとドキドキしながら、試験ルームへと入っていく。

スターパイロット試験のおちゃらけコンピュータ試験管

そこは、備品といったものは何もないがらんとした部屋。
ただ、正面にまるでコクピットのフロントスクリーンのような大きな画面があった。宇宙空間を映し出しているそのスクリーンのその前には、シートがある。

「えーっと、ここに座れば…いいんだよ…ね?」
この大スクリーンが試験用のパソコンの大画面なのだろうと判断し、今一度それらしきものはないかと、周囲を見まわしてから、ニーナはスクリーンの前にあるシートに腰掛けてみる。

--♪チャララッチャチャーーーーン♪--

「ハロー、ハロー!スターパイロット試験にようこそ!!私は試験官のマッドです。(@o@)」

ニーナが座った途端、それまで静かに宇宙空間を映していたスクリーンに、カラフルな線が踊りはじめめ、同時に、音声が飛び出した。どうやらコンピュータが起動したようである。しかも、浮かれたBGMと共に。

「問題を出すのが生き甲斐・・マッド・テスター、なんちゃって。問題はたったの4問、だけど、全問正解じゃないとライセンスはあげないよ!さぁ、そこのあなた、用意はいいですか?」

--♪チャラララッタ、チャラチャラ~♪

「おぉっと、名前を聞くのを忘れてました、お名前は?」

--♪チャ、チャーーーーーン♪

「はあ?・・・/^-^;」

予期しなかったおちゃらけコンピュータに、ニーナは目を丸くして暫く声がでなかった。

(な、なんなんだー、これは。軍の、それも仮にもスターパイロット・ライセンス試験のなんだぞ!いっくら今人間味溢れるPCが流行だからって、一般家庭じゃあるまいし・・。だれだ?このPCにこんなおちゃらけた性格をインプットしたのは?・・まさか司令官じゃないよねぇ・・。)

ニーナは考え込んでしまった。

--♪チャラッチャッチャ、チャラッチャーーーー♪--

「どうしたんですかぁ?受けないんですか?受けて損はありませんよ。受験料はたったの10クレジットです。あっ、でも不合格の場合でも受験料の10クレジットは返却いたしませんので。まあ、頑張ってちょうだいね。お名前は?」
--♪チャーチャラチャーン、ちゃーちゃらちゃーん、ちゃ、ちゃ、ちゃちゃ♪--

「ニーナ・シャピロ」

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「ニーナ・シャピロさんですね。では、IDカードを右下のインサーターに差し込んで下さい。」

彼女はいつも持っている自分のIDカードを差し込んだ。

--♪ちゃかちゃかー、チャカチャカー、チャーララー♪--・・・

「ニーナ・シャピロさん、っと・・登録完了・・では、横のコインインサーターに10クレジットコインを入れて下さい。」

--♪たたたたたーんた、たたたたたーんた、、ターラーラーラー・・♪--

呆れながらも、ニーナは言われた通り、コインを入れる。

--♪しゃららー、たららった、たーーーたたーーーーーーしゃららー♪--

「只今より、ニーナ・シャピロさんのスターパイロットライセンス試験、始まり、はじまりぃ~!」
「はあー・・何か、疲れるう~。」
ニーナはコンピュータの前にうつ伏せてしまった。あきれ果てて物が言えない。

おちゃらけながらも試験開始!

「それでは、第1問、よろしいですか?」

急に真面目な言い方に変わり、ニーナはその変わりようにびっくりして、顔を上げた。
画面には、音声と共にすでに第一問が写し出されている。

「第1問、1パーセクは、何光年か?」

「3.26光年!」
彼女は自信たっぷりに答えた。

「ピンぽーーーーーん!!ご正解~。・・それでは、第2問、最も熱いブルースターのスペクトル型は何だ?」

(う・・なんだったっけ、わっかんない・・・まあいいや、ぼくの血液型でも言っとこう)

「O型!」

「お・お・あ・た・りぃぃぃぃ!!やるね、ニーナちゃん!!」

(げっ、当たっちゃった。)
まさか当たるとは思わなかったニーナはずるっと脱力。

「うほん・・それでは、第3問、力の数学的表記は?」


なんだか画面には数式がでている。

「数学的ぃ?・・ぼく、数学って聞くと蕁麻疹が出るんだよね。お味噌が拒絶反応を起こすの。むむむーーー、力の数学的表記・・んなことぉ・・・ジャンから習わなかったし…」

お味噌とは、ニーナの脳みそのことである。そのお味噌が入っている頭をかかえて考え込むニーナ。

「分かりませんか、ニーナ・シャピロさん。・・カウントダウンしますよー。」

「ええーっ、そんなことすんのお?ええと、ええと~・・」
彼女は頭を抱えて必死に思い出そうとする。

「カウントダウン開始、、テン、ナイン、エイト、セブン、シックス、ファイブ、フォー、スリー、ツー、ワン、ズエーロウ!!はーい、残念でした、またどうぞ。おかえりは、あちらでーす。」

画面一杯の手が出入口を指している。

仕方なく部屋を出ようとニーナが立ち上がった時、再びコンピュータがしゃべった。

「10クレジット入れれば、も1回、チャレンジできるよ。さあ、どうしますか?」

一回目の試験は不合格、二回目は?

「やるわよ、こうなったら受かるまでやるんだから!」

コンピュータに馬鹿にされている感じがして、頭にきてしまったニーナはそう叫ぶとコインを入れた。

--♪チャラララーーーーーーラーラーラー♪--

「さあ、今度こそは受かろうぜ、ニーナちゃん!!では、第1問、1パーセクは何光年か?」

「3.26光年!」
(さっき答えたじゃないの。もしかして同じ問題?)

「ぴんぽーーーーん、では、第2問、最も熱いブルースターのスペクトル型は何だ?」

(あれ?これも一緒だ、らっきー!)
「O型!!」

「ピンポーーーーン!正か~~い!」

(さーて問題は次だ、分かる問題だといいんだけど、でも今までの2問は全く一緒だったから。)

「では、第3問、力の数学的表記は?」

(やっぱり一緒?・・・困ったなぁ・・・。)

「次に上げる4つの答えの中から選びなさい。1、F=dt/dx 2、F=-F3、F=(d/2)a 4、F=ma さあ、どれでしょう?」

「ええーっ、さっきはそんなこと言ってくれなかったじゃない?」
ニーナは答えるのも忘れついつい文句を言ってしまう。しかもなぜか画面に移っている数式は、選択枝にはない。

「実はね、僕、ニーナちゃんが気に入っちゃったんだ。ちょっと少年ぽくって、ほっとけないって感じで。・・、ニーナちゃん見てると、電圧が上がってショートしてしまいそうなんだ。こんな気持ち始めて。」

(わ、私は、PCに好かれる質なのか?)

ニーナはぞぞっとしながら、そのことは努めて考えないようにし、一生懸命、答を選択していた。一か八かの大六感で。

「えーっと、そ、そうねー…(ええーい!いちかばちか!)…よ、4番、F=ma!!」

「ぴんぽん、ぴんぽ~~ん!大正解!」

「やったー!!」
思わずガッツポーズ!

「では、最後の問題です。スターパイロットは、何に忠誠を誓うべきか?」

(何に忠誠?ええーーーと、ヒアスラ皇帝かな?・・それとも帝国・・でも皇帝が代わったら、うーーん、でも、皇帝が代替わりしてもヒアスラ皇帝なのかな?・・あーー、どうしよう?これで最後!!」

頭の中はぐるぐる大混乱。

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「カウントダウンしますよー!」

「え?ち、ちょっと待って!カウントダウンされると思考が止まってしまうんだから!え、えーっと、じゃ、じゃー帝国!」

--♪パラパラッタターーーーーーーーン!!♪--

「おめでとう!!合格です!!これであなたも正式なスターパイロット!」「わーーーーーーーーー!!ぱちぱちぱち!!」
コンピュータから拍手喝采の音声が聞こえた。

「なんなんだろうね、全く、これはあ!!」

そして、「暫くお待ち下さい。」とすました声。

ニーナがため息をついて待っているとIDカードを入れたところから、青いカードが出てきた。カードにはニーナ・シャピロと記載されている。

「じゃ、輝ける帝国のスターパイロットの一員としての自覚と誇りを持って頑張ってくれたまえ。他にご用件は、ニーナちゃん?」

「通関手続き申請書が欲しいんだけど。」

「通関手続き申請書ですね、では、IDカードを、もう一度インサーターに入れて下さい。帝国のデータバンクにインプットしますので。」

ニーナはIDカードを差し込んだ。暫くして、ビープ音とともに緑色のカードが出てきた。

「受理ナンバーは、CRC-07です。ご確認下さい。」

「はい、確かに。」
ニーナはカードを見ると言った。

「両方ともなくさないようにするんだよ、ニーナちゃん。でも、僕としては、またニーナちゃんに会いたいから、なくすのは、大歓迎だけどネ。」
画面一杯にウィンクが写った。

「うっ、最後の最後まで・・・。プログラマーの顔が見てみたい・・。」
そう思いながらニーナはそこを離れた。

部屋をでるとオレリアン氏がソファに腰掛けて待っていた。
「試験は合格したようですね。おめでとう。他に何か用件はありますか?」

「いいえ、どうもありがとうございました。失礼します。」

「幸運を。」

-シュン-

「ふう………」
オフィスを出ると、どっと緊張感が緩み、忘れていた頭痛がぶり返してきた。

「痛っーー…、緊張と呆れたのとで、二日酔いの痛み忘れてたーーーー」

どっと疲れも出てきたようだ。
ひとまず船に戻って、仮眠することにした。アーマー修理中だが、乗船はできるはず。

ステーション内には、宿泊施設もあるが、今は1クレジットでもムダにできない。寝心地は悪いが休むことはできる。

(一休みしてから、ここ(カロノス星系)での流通など調べて、今後のことを決めようっと)

ひとまず目的のスターパイロットのライセンスと通関手続き申請書は入手できた。
不安は目の前に山積みだが、やれることからやっていこうとニーナはポートへと向かった。

>>>SpaceRogue星々の輝き9・千鳥足で金脈作りにつづく

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