SFスペースファンタジー「星々の輝き」51・英雄誕生

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「ここまで来たのに!もう!!あんたたちの王女様を乗せてんのよ!分かってんの?」
聞こえるはずのないマンチー艇に向かってニーナは叫んでいた。

せっかくマンチー本国が目の前だというのに集中攻撃を受けているニーナの船は、もはや虫の息。

『アーマー残量・・・50』
計器は無慈悲にも絶望的な数値を表示していた。

「何とかしてよぉ、、卵の中の王女様ぁ!!」

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SFスペースファンタジー「星々の輝き」51・英雄誕生

もはや絶体絶命。
ここまで来たのにどうしようもない。

もう・・・ダメ・・・・・・

その時だった、ニーナの頭の中にかわいらしい、そして凛とした声が響いた。

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マンチー・クイーンとの対面

『わたくしは、ここにいます。』

その途端、マンチー艇の攻撃が止んだ!

ニーナの必死の叫びが、卵の中の王女に届き、それに応えてくれたらしかった。
そして、その声は確実にマンチー艇にも届いたようだ。

遠巻きに航行するマンチー艇に挟まれて、ジョリーロジャー号は、無事マンチー星に 到着した。

周回軌道に乗ると同時に、地上からの誘導電波により、ジョリーロジャー号はゆっく りと降下していく。

初めてみるマンチー星。
それは、むき出しになっている赤茶色の土に覆われていた。
その赤茶色の表面にあるクレーターを、船は一段とゆっくり降下し、地下都市のポートへと導かれていった。

卵の入ったカプセルを大事そうに抱え、船から降りたニーナを待っていたのは、バーキリの貿易商だった。

『セチ』と名乗ったその貿易商は、ニーナとマンチー人との通訳を買 って出たと言った。

蟻の進化したマンチー人が囲む中、卵を抱えたニーナはセチに案内され ホバーカーで地中の道を進む。
出たところには、荘厳な宮殿が地下湖のほとりに建つドーム型の広い空間だった。

「そなたが、わたくしの子どもを取り戻して下さったのですか?」

宮殿の謁見室。
蟻の姿をした異形の女王は、ニーナに、にっこりと微笑んだ。(ように見えた。)

「は・・はい。」
セチにそう通訳されたニーナは、その高貴さと威厳に圧倒され、めいっぱい緊張していた。

女王自らニーナに近寄ると、卵の入ったカプセルを受け取り、カプセルから取り出した卵を 玉座の横の虹色に輝く台の上にそっと乗せる。

卵は台の輝きと共鳴するかのように、呼吸をするように、輝き始めた。

「もう大丈夫です。」
王座に戻ると女王は、やさしくニーナを見つめた。

ニーナは、再びセチに通訳してもらい、これまでのいきさつを話して戦争を止めるよう頼んだ。

勿論、女王は快く引き受けてくれた。
何しろ、次期女王の命の恩人、ひいてはマンチー種の恩人なのである。

「これで、ファーアームも、そして、このマンチー国も救われる。
きっとプリンセス・ ブルー号のみんなも喜んでくれている。」

運悪く卵を奪っていった船を追跡していたマンチー艦と遭遇し、集中攻撃されて宇宙に散ったプリンセス・ ブルー。
誤解がさらなる誤解を呼んだ悲劇。
が、これからは大丈夫だろう。
もうあの悲劇は繰り返されないはず。

ニーナは心からそう思った。

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ジョリー・ロジャー号の修理も快く引き受けてくれ、直るまでニーナはマンチー国で歓待を受けた。

女王が宮殿から出ることはないのだが、次官がニーナを見学にあちこち連れて行ってくれた。

そのハイテクさには目を見張るものがあり、戦争を回避できて良かったとニーナはつくづく思った。

帝国との休戦は、バーキリの貿易商を通して締結され、全てが丸く収まった。

ただ、コス提督とビラニーは、その情報が入ると同時に、姿をくらましてしまったらしい。

が、今は素直にこの平和をかみしめる。

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宇宙を救った英雄誕生

そうして、ニーナは18カ月のNスペース間の航海を終え、無事ファーアームに帰り着いた。

その彼女を待っていたのは、帝国を上げての歓待だった。

本国に招待されたニーナは、宮廷で皇帝から生者に与えられる最高の名誉、『ゴールデン・サンバー スト勲章』を賜り、彼女の功績を、皇帝は直接褒め称えた。

「そちは、余の命ばかりでなく、帝国を、いやマンチー国も含めて、全宇宙を救ったのだ。
余は、そちの勇気と知恵に感謝する。」

「あなたは運命に流されず、強く生きていける方です。
あなたの未来は、栄光に輝いて います。」

ニーナの首に勲章をかけるアベンスター公妃が、やさしく言った。

「わーっ!」
謁見の間の外から大歓声が聞こえた。

公妃に導かれるままバルコニーに立ったニーナの目に移ったのは、宮殿の中庭に集まった人々の笑顔だった。

ニーナには、その中にプリンセス・ブルー号のクルー達の姿をも見えるような気がした。

彼女の両頬を熱い滴が幾筋も伝っていく。

「ジャン、ピエール、キャプテン、テリー、ロイ、ディック、サミー、ガーシー・・」

ニーナが涙を拭う事も忘れて、ゴールデン・サンバースト勲章を高く掲げると、より一 層高く歓声がわき起こった。

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星々は静かに輝く

マンチー国とはその後、幾度か条約を締結し、戦争は起こらなかった。

アベンスター公妃も再びファーアームに戻り、ニーナのよき話し相手となっている。

そして、ニーナにとって何よりも嬉しかったのは、ファーアームのみんなが以前と変わらない態度をとってくれたことだ。

最も『英雄のお通りだ』とか『勇者、ニーナ様のご帰還』 とか、時にはからかわれたりもするが・・。

そうして、『全宇宙の救世主、ニーナ・シャピロ』(命名は、ヒアスラ皇帝である。) の名は、宇宙に広く、後世に長く、伝えられていく。

カッコ良く美化されたエピソード と共に。

・・・しかし・・・・その実体は・・・・・

「げろげろぉーーーー、・・また積み荷が台無しになってるぅ!!」

「あんなに長くイオンストームの中を飛んでるからだよ、ニーナ。」

「んなこと言ってもぉ・・・イオンストームに囲まれてるゲートだけど、あそこからが近道なんだって事は、リズも知ってるじゃない!?」

「急がば回れって言うよ?!」

「だって!賞味期限付きの積荷だったから・・・
ああ、もう破産だ!・・・イオンストームの、ばかあああーーーーっ!!」

 

SF・スペースファンタジー・星々の輝き・SpaceRogue本編 -完-

>>>SF・スペースファンタジー・星々の輝き・SpaceRogue-エピローグ1-につづく

SFスペースファンタジー「星々の輝き」Epilogue

SFスペースファンタジー、スペースローグ「星々の輝き」INDEXはこちら 無事マンチークイーンの卵を女王の下に送り届けたニーナ。 本国へ戻れば、英雄として皇帝から直々に言葉と勲章を賜った。 スペースロ ...

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