SFスペースファンタジー「星々の輝き」47・はったりをかませ

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海賊の首領であるガットに会いにフリーギルド拓殖基地にやってきたニーナ。
ガットに会う為には秘書のオマーの許可がいる。

「敵でない証拠を見せろ、商船を襲ったら会わせてやる」というオマーに、なんとか他の方法でガットに会わせてもらおうとニーナは必死で考える。

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SFスペースファンタジー「星々の輝き」47・はったりをかませ

「うーん、どうしよう?」

ニーナはバスルチ星系のフリーギルド拓殖基地に来ていた。
一応、オマーには会えたものの、ガットに会う条件である無理難題を押しつけられ、バーのカウンターで頭を抱えていた。

「あんたはもう聞いたかい?マンチーの大艦隊が、こっちに向かっているらしいってこと?」

ニーナの前にビールを注いだジョッキを置きながら、バーテンダーが話しかけてきた。

「マンチーの大艦隊が?」

「さっき飲んでいったお客さんが言ってんだ。
何でも1500隻もの大群だって事だが、ホントなんだかねぇ?
この辺りでも結構マンチーは出るが、そんなに集団でやってくる事は聞いた事がない。」

「1500隻って、それ本当?こっちに着くのは?」
ニーナは出されたビールに口をつけるのも忘れて聞いた。

「こっちまで来るには、まだまだ先の事らしい。
けど、まぁ、眉唾くさいっていうか?
だいたいそんな数のマンチーに襲われたら、ファーアームなんて、あっと言う間に終わりだ。」

笑いながら話すバーテンダーはそんな話は信用してはいないようだった。
気楽に考えているようだ。

「ホントなら、こんなとこにはいないって。さっさとずらかるね。ははは。」

「ごちそうさま。」

ニーナはほとんど口を付けてないビールをそのままにし、バーを後にした。

「時間はもうないんだ!海賊でもなんでもやって、何とかくい止めなきゃ!」

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海賊の証明

ガットの右腕だというオマーには、なんとかNSBの話を持ちかけて会うことができた。

確かにいかにも海賊らしい風貌の大男で、最初ビビリはしたが、やっぱりシシャザーンやバスルチの怪物と比べれば、どうってことないとニーナは気持ちを入れ替えて交渉した。

その結果が、ガットに会うための条件としてオマーから提示されたのが、味方の証明、つまり商船を襲って海賊業の仲間であることを証明してみろということだった。

「ふ~~・・・公妃様さえいらっしゃれば、事情を話してお尋ね者にリストアップしてもらうんだけどなー。
そうすれば商船を襲うことなく証明できるんだけど・・・」

ジョリー・ロジャー号のコクピットで、宇宙を映す前面スクリーンを見つめながらニーナはため息をつく。

「いいよ、1,2回くらい。ファーアームが壊滅されると思えば商船を襲って積荷をいただくくらい・・でもねえ・・・」

「うん、白旗上げて積荷をくれればいいんだけど、中には、最後の最後まで抵抗して、決着をつけなくちゃいけなくなる場合もあるからねー」

リズも顔をしかめて答える。

決着をつけるとは、どちらかの船が破壊されるまでだ。あるいは航行不能状態か……ともかく、相手が血気盛んな負けず嫌いだと問題なのである。

仲間やハンターに救助を求めて乱戦になる場合もあるし、軍艦が加勢する場合もある。

「うーーん・・・周囲に僚船がいないのを確認してから…そうねー、スコウあたりを狙う?」

「だねー。スコウならタンカーよりスペック低いし、オートレーザーで数回撃てば降参しそうだけど・・・」

「ちょっと攻撃しておいて、あとは逃げるっていうわけにも、いかないよね?」

「うまく逃げられれば良いけど、追ってくる奴はとことん追いかけてくるからね?」

「えーーーーーーー、どうしよお?」

ニーナは思いっきり悩んでいた。
たとえ、ファーアーム全体を救うためでも、罪のない人まで宇宙の藻屑にしたくない。

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はったりをかませ!

ーシュン!ー

「お?坊主、戦績あげてきたのか?こっちにゃ報告は入ってねーが。」

今一度、意を決して『スカーレット・ブラザーフッド』のオフィスに足を踏みいれたニーナの顔を見るやいなや、デスクにいたオマーがジロリと睨んで吐いた。

「だって、襲ってないから。」

「はあ?仲間だっつーことを示せって言っただろーが?
それとも何か?商船1隻でさえ襲えないってか?
そんな肝っ玉の小せぇ奴は、ボスには会わせられねーぜ?」

何を言われようが、涼しい顔、いや、真剣な表情でニーナはデスクを挟んでオマーの前に立つ。

「どっちが肝っ玉小さいんだよ?」

「はあ?」

「だって、そうだろ?仲間という証拠を示さなきゃ会わせないって、つまり、ここがあんたたちの本拠地で安全地帯なのに、あたしのようなひよっこを警戒して会わせないなんて、肝っ玉が小さい証拠じゃない?
良い図体してさ?それでも海賊?」

「はあ?」

ガタタン!とイスを蹴るようにして立ち上がるオマーの顔は怒りで真っ赤。

「野郎、黙って聞いてりゃ好き勝手なこと言いやがって!」

オマーの手が伸びてくると思ったそのとき、デスクの通話機のブザーが鳴り、オマーはニーナを睨みながらそれに応答する。

「は?通せって、し、しかし、ボス?!」

『いいからさっさと部屋に通さねーか!』

通話機の向こうの声が、ニーナにも聞こえた。

(この部屋での会話は全部ガットに筒抜けなんだ)

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大海賊の大親分とご対面

奥のドアを開け、こっちだとあごで示した通路の先の部屋に、海賊の首領・ガットはいた。

『ドロートン・ガット卿/スカーレット・ブラザーフッド代表』
窓の外の宇宙空間を見ているガットのデスクには金縁の重厚な作りのネームプレートがあった。

「初めまして。ニーナ・シャピロです。」

まずは、礼儀正しくお辞儀をして挨拶する。
別に敵対しようと思って来たわけではないのだから。

「ライゾンの口利きだってな?」

「はい。」

「NSBをあの研究所に取りに行ったって?」

「はい。」

「巨大肉食恐竜の口の中に頭をつっこんだって?」

「え?…えっと、頭までは突っ込んでないです。」

くくくっ!と不意にガットが笑い始めた。

「そうか、頭までは突っ込んでないってか?
ついでに”はい”と答えときゃいいのに、正直だな?」

ニーナに背を見せたまま話していたガットがようやく振り向いた。
笑ってはいたが、ギロリとニーナを睨んだ視線は、まさに鋭利な刃物。
さすがに海賊の大親分だけあって人を圧する貫禄がある。
でも、命を取られる恐怖は、ニーナには感じられない。

「それだけが取り柄なので。」

「ふむ…さすが肝っ玉座ってるな?
ここ(海賊の巣)が怖くねぇのか?」

「怖いです。でも、怖がってなんていられないんです。」

「事情がありそうだな?」

ガットは改めてニーナをつま先から頭のてっぺんまで観察するように見る。

「ライゾンの腕は買ってるんだが、奴とどういう関係だ?
しばらく顔を見ねーが、奴はどうしてんだ?」

「彼は病気で、あたしが彼の船を引き継いだんです。」

「ほう…ライゾンにそこまで見込まれてるのなら、普通のヒヨッコな訳ねーか。
肝っ玉が座ってるのも分かるぜ。
ま、立ち話も何だ、座れ。」

ガットは応接用のイスをニーナにすすめると、自分もその対面のソファに腰を下ろした。

 

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