SFスペースファンタジー「星々の輝き」43・マンチー大艦隊接近中

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怪物の住処となってしまったバスルチの研究所から、命からがら、なんとか無事に「NSブースター」を回収できたニーナは、さっそくタルゴン隊長のいるアークチュラス星系の拓殖基地・マイコン2を目指した。

NSBで正気さえ取り戻せば、タルゴン隊長から、今何が起きようとしているのか、そして、それに対する対処方法を聞き出せるはずだった。

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果たして、本当にニーナは、水面下で進行中ファーアームの危機を救えるのだろうか。
宇宙はあくまで静かに、いつもの顔でニーナを迎える。

腐食成分違い

「アーマーが下がってるよ。」
リズがコンソール右下の計器を見ながら言った。

「何で?ヌルダンパー付けたのに・・・効いてないのかな?」
ニーナも確認した。

「ワームホールで下がったのならもっと下がってるはずだよ。
それに16光年もあるバスルチからデネブまでのワームホールでは、なんともなかったんだから。」

それまでのアーマーの推移を調べながらリズが言う。

「そうだよね、ゼッドからの時も下がってなかったし。とすると・・・」
ニーナはそれまでに来た道を思い起こしていた。

「そうだ!ヌルダンパーがあるからって気を抜いて、スピード出しすぎでジャンプ失敗したんだよ!」

リズがちらりとニーナに視線を投げかけながらその原因を指摘する。
そう、ジャンプ失敗してもワームホールの腐食成分には侵されてないからアーマーは下がらないが、失敗して戻された宇宙空間が、ワームホール内のモノとは異なる腐食成分を持つ星雲だった。

「ああーーー!あれか!!」

ニーナも思い出していた。

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「ワームホールはたとえ同じ入り口でも、曲がり方がそのつど違うんだってこと忘れない 事!!
アーマーは下がらないけど、戻っちゃうから時間の無駄になるし、今回は戻ったエリアが問題だったんだよ。」

「ご、ごめん。急いでいて戻されたときもアーマーのチェック忘れてちゃってたんだよね。」

「うん、そういうことになるね。」

「ふう。災害は忘れた頃にやってくる…のよね。以後、気を付けます。」

「はい、よろしく、ニーナ。」

「…全く、どっちが主人なんだか、分かりゃしない!」

「面倒臭いとか言って、私の性格をインプットしなかったニーナが悪い。
その場合、学 習機能が働くんだよ。」

リズは涼しい顔をして言い切った。

「当然、ロボットはその主人に似る。」

「はい、はい。・・退屈しなくて、いいよ。」
ニーナは返す言葉が見つからず、話題を元に戻した。

「じゃ、アーマーが下がったのは、やっぱり、星雲の腐食成分のせいって事だね。」

「うん、そうだね。
ワームホールの腐食成分とは成分が違うから効かないんだろうね。」

「じゃー…コスがあれから航行不能になったって聞いてないから、多分大丈夫なんだと思うから、修理に立ち寄ってみるとしようか。」

ニーナはそう決めると、目的地を航空母艦コスにセットした。

「航行不能になってなくても、ニーナが盗んだって、ばれてたりして・・。」

「あんたねー、なんで、そう主人が不安になるような事いうの?」

「ニーナが心で思っているからだよ。」

「・・・・」

ニーナはリズの顔をじっとみるなり、しばらく開いた口が塞がらなか った。

「マイコン2には修理工場はないもんね。
とにかく、アーマーの修理は必要なんだから。
ばれたら・・そん時はそん時で、逃げりゃいいよ。」

ニーナはリズからスクリーンに視線を移した。

「逃げるが勝ちっ!」
スクリーンをリズもまた見ながらが、すかさずつけ加えた。

(・・・私より楽天家なんじゃ?・・・)
ニーナは思わずため息が出た。

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マンチーと全面戦争?

「おおー!コス発見!なんともなかったみたい!」

さすが帝国の輝ける方のシンボル。
ニーナの思った(期待した)とおり、転換コイルが1つくらい盗まれても、支障はなかったようだ。

そして、ここは航空母艦、コスの一般用デッキ。

ニーナが転換コイル盗んだことも、ばれてなかったらしく、何も問いつめられる事もなくドッキングできた。
が、それでも中に入るのはどうも気が咎め、ニーナはデッキをうろついていた。

「おい、シャピロ君じゃないか?」

不意に後ろから大きな声をかけられ、ニーナはびくっとして振り向いた。
そこにいたのは、転換コイルを盗んだときに出会った、勲章をい っぱい付けた大男の大佐だった。

「こ、こんにちは、大佐。」

ニーナはもしかしてこの人は知っているのでは、と思い、 いつでも逃げれるよう、適当な距離を取って向かい会った。

「商売はどうだね?」

上機嫌の大佐はそんなニーナの態度に不信を抱くでもなく、相変 わらずの太くて大きな声で話し始めた。

「はい、なんとか・・。」
大丈夫と判断したニーナは、照れ笑いしていた。

「ふむ・・それはいい。」

「ど、どうも・・。」
と、いきなりぽん!とニーナの頭に手を置く。

「あんたを見ていると、連星間戦争で亡くした弟を思い出すよ・・・。」

「え?弟さんを?」

「ああ・・・・」
ニーナの顔から星空に視線を移した大佐はどことなく悲しげだった。

「弟の命を奪った革命軍の残党は、まだこのファーアームのどこかにいるんだろう・・。」

「・・・・・」

(それは革命軍じゃなく、戦争という行為が生んだ悲劇なんじゃ・・・)

そうは思っても声を出して言うことはできない。

「いいか、これについては話すことを禁じられているんだが、見た所、君はいい奴らしいから、一言だけ、忠告しておく。」

「え?」

(そんな大事なことを一般人に話していいのだろうか?)と思案しながらも、思わずラッキー! と心の中で勝利のサイン。

「いいか、よく聞くんだぞ。
なるべく早くファーアームから出た方がいい。
簡単に説明すると、マンチーの艦隊がこっちに向かって来ている。
まだここに着くまでは、何カ月かかかると思うが、もし、奴等が現れたら恐ろしい闘いになるだろう。」

「マンチーの艦隊が・・・ですか?」

「そうだ、奴等の習性で、一旦種族間戦闘を始めると、どちらかが全滅するまで続けるんだ。」

「え?どちらかが全滅?」

「奴らの攻撃本能だ。奴らはそうやって領土を広げている。
そして、現状分析すると奴らの総攻撃を受ければ、このファーアームなど一溜まりもない。
分かったら、すぐ出るんだな。
勿論、私はコス提督と共に全力を尽くすつもりだ。」

「マンチーと全面戦争・・・」
ニーナは驚きの表情で大佐を見上げた。

「そうだ。おそらく先の連星間戦争とは比べ物にならない戦いになるだろう。
帝国軍はコス提督指揮下、全力を持って奴らを撃滅してくれる。
が、戦場となるファーアームは、革命軍残党の虫けらと共に
・・・おっと、では、会議があるのでこれで失礼。
いいか、なるべく早く本国に戻るんだ。」

本音が出そうだった言葉の最後を濁し、大佐はニーナが何かを言おうとしているのも無視してくるっと向きを変えると立ち去った。

「大変だ!・・・まだ間に合うのかな?」

ニーナは、アーマーの修理の事も忘れ、急いで船に戻ると、リズの言うことにも耳を貸さず、マイコン2へと急ぎ船を発進させた。

・・・アーマーが下がった状態で、海賊やマンチーの襲撃に出くわさないことを祈る・・・

 

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