SFスペースファンタジー「星々の輝き」41・命知らずのバスルチ行

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バスルチ星系内、小惑星バスルチのステーション内にある遺伝子工学研究室。
それが、今回恐怖の悲劇が起きた研究所である。

その研究所の最深部の部屋に保管されている狂人を正気に戻すという『NSブースター』の回収するために、ニーナは閉鎖され無人となったステーションのポートに船をつけた。

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SFスペースファンタジー「星々の輝き」41・命知らずのバスルチ行

ニーナは、バスルチのマイコン3へ来ていた。
当然のことながらポートには船1隻もない。
静まり返った周囲には警報と録音されたメッセージが響きわたっている。

『バスルチ採掘ステーションは、人命に関わる危険が発生した為、閉鎖されています。旅行者のみなさんは、近づかないで下さい。』

ニーナは船から出れなかった。どうしようか、と迷っていた。

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半端ない恐怖感

ゼッド星系を後にしてから、何人も知り合いに一緒にくるように頼んでみた。
しかし、答はみんな同じだった。

「できない。」

公妃様にもお願いしようと会いに行ってみたが、運悪く取り込み中とかで会うことができなかった。
ガードマンのベンガーにメッセージカードを渡しては来たのだが、返事が無いままである。

ケールにもただ呆れられただけで、本当の理由も言えないニーナは、誰1人として助け手を得ることはできなかった。

「ふ~んだ、そりゃー、公妃様の立場も分かるけどさあ・・・他人に命令すりゃ いいってもんじゃないのに、全く!!
誰か他に兵士はいなかったのかなぁ・・・。」

「いないからニーナに頼んだんでしょ?」

じっと聞いていたリズが、ニーナの言い分にすかさず突っ込んだ。

「多分、どの兵士もコスの息がかかってる危険があってだめなんじゃない?」

「かもしれないけど・・でも・・・」

分かってはいるニーナなのだが、それはそうなのだが、今 回は、未だかつてなく非常に危険なのだ。

(もしかしたら・・・死んでしまうかもしれない。)

そう思うと、足が震えて動けないニーナだった。

(そういえば・・・子どもの頃、リバイバル映画でこんなの見たなぁ・・・。
確か『エイリアン』の・・えっと・・この状況と一番酷似してるのは・・『2』だったっけ?
・・・たった1人で女の子を助けに行くあのヒロインと同じ!
あれは、映画だから上手くいったけど・・。
なんで、私がこんな目に会わなくちゃいけないのよお!)

こんな危険なことができるのは、おそらくタルゴン隊長くらいなのだろう、が、今は そのタルゴン隊長の正気を取り戻させるためにしなければならないのだ。

代わってやってくれる 人は誰もいない。

そして、そうしなければ、事態は何も変わらない。

ファーアームは刻一刻と終焉に近づいて いくだけなのだ。
それは決して大げさなことではない。目の前の事実なのである。

そして、それは、全てニーナの肩にかかっていることも、事実だった。

「ふ~~~・・・・・」

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死ぬ覚悟で進め!

数分後、ニーナは、右手には自動小銃を握り、肩にはその弾をぎっしりと詰め たベルトをかけ、ポートに降り立った。

動きは多少鈍くなるが、吐く息や体温で怪物に感づかれてもいけないので、しっかり スペース・スーツを着たまま。

ただし、見つかった場合の怪物の攻撃には、軽量さと密閉度重視のスペース・スーツの強度など何の意味もなさないらしい・・。

見上げた船へ乗り込むステップがニーナには、今日は、ばかに高く感じられた。

「さあ、行くぞお!」

(あのヒロインは聖書の一節を唱えながら、エレベーターで降りて行ったんだよね・・ 何だったっけ、彼女の名前・・・忘れちゃった。)

ニーナは、ごくんと唾を飲み込むと、建物を睨んだ。

-シャ、シャー-
どこかのドアの開く音がした。

(どこからか怪物が出てきたのかな?)

ニーナは、船の影に隠れながら、そおっと建物の方を見てみた。

船体を挟むようにして、真正面にドアがあった。

今は開いていない。

ニーナは自分の回りにも気を配った。
ドアばかり見てて、 後ろから襲われでもしたら、ひとたまりもないからだ。

緊張のあまり、身体はこわばり、銃を握る手が震えていた。

「よ、よし・・・行くぞ!」

彼女は、自分に言い聞かし、スーツの左腕部分に取り付けた生命探知機を作動させると、 そろそろと歩き始めた。

それは応急だが、リズが作ってくれたものだった。

真正面のではないもう1つのドアの横に身を壁にくっつけて立ち、窓からそっと中を覗いてみた。

「ここには、いないようだけど・・・・」

彼女は生命探知機も反応していないことを確かめると、ごくんと唾を飲み、ドアから中へ入り、すぐ物陰に隠れ た。

対面には奥への通路に繋がるドアがある。

と、そのドアの向こうでずるずると何かが動いている音がした。
探知機は確かに反応を示していた。

「神様、仏様・・た、助けて!」

思わず祈らずにはいられなかった。

部屋を見渡すと、めちゃめちゃに破壊され、そこら中に飛び散った血の跡がついている。

バイザーを上げれば、多分、血と腐臭の臭いでむせてしまうだろう と思われた。

今更ながら、ニーナは自分がとんでもない事をしているのだ、と感じた。

ドアの向こうの音がしなくなった。
探知機も反応を示していない。
ニーナは、 恐る恐るそのドアに近づく。

『ドアや角には気を付けろ!奴等が待ち伏せしているかもしれん!』
ティブの声がニーナの頭に響いた。

生命探知機は、反応なしのままだ。
だが、ニーナはなかなか決断できずドアの横で立っていた。

「ふうーーっ・・・・!」

いつまでも立っていては、また怪物が来てしまうかもしれな い、いやもしかしたら、その反対かも知れないが、このままでは、いつまでたっても、らちがあかない事だけは確か。

ニーナは大きく深呼吸をするとドアの前に立った。

と・・急に探知機に反応が出た!

(え?!・・そ、そんな・・・)
慌ててドアから離れ、物陰に隠れる。

-シャー・・・-
ドアが開く。

反応があったと思ったらすぐのことだった。
相手の移動スピードは、やはり人間より ずっと素早いようだ。

-ふしゅー・・-

怪物の荒い息が聞こえる。

目が合ったら最後、怪物の姿を確認するなんてとんでも ないことだ。
じっと物陰で小さくなっていた。

(どうか、こっちには来ませんように・・・お願いだから・・・来ませんように・・・)

恐怖に震えながら、心の中で必死に祈る。
自動小銃は持ってはいるが、それは対面したときの最終手段。

とはいえ、自動小銃など効き目がないこともティブから聞いている。

だから、ここで撃つのは返って怪物の仲間を呼んでしまうことになる。
そうなったらもう最後だろう。

ニーナは震える手でそのお守りを握りしめ、息を殺して怪物が立ち去るのを待っていた。

 

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