SFスペースファンタジー「星々の輝き」39・転換コイルを盗め!

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コス提督が公妃そしてファーアームの敵だと知ったニーナ。

公妃直属の部下であり潜入調査をしていた狂人になってしまったタルゴン隊長から詳細を聞きだすためには、狂人を一時的だが正気に戻すNSBが必要だった。

そのNSBが保管してあるバスルチ研究所の詳細を知るためにゼッド星系のマイコン5へ行く予定のニーナは、同じくマイコン5にいるプロスク博士に転換コイルを持っていこうと空母コスへとやってきた。

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SFスペースファンタジー「星々の輝き」39・転換コイルを盗め!

盗みのチャンスは後も先も1回のみ!

見学コースの1つに入っていて、一番最初に立ち寄ったとき案内してもらったから、場所は分かっていた。

「でも、確かあの部屋に入るとき、アンロックしてたよね。
ということは、鍵が必要になるんだけど、鍵を盗むことからだと……誰が持っているかわからないかー・・・」

どうしよう?と困りはてていたニーナの脳裏に、またしても閃きが浮かぶ。

「そうだ!100クレジット払ってロボクルックのカバンから取り出したあのキー・カードは使えないかな?」

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物は試し。この際やってみるしかない!
その日の深夜の時間帯、兵士による最終巡回が終わった直後に、ニーナはそっとコス艦内に忍び込んだ。

転換コイルがあるフロアは巨大な発電施設。
そのドアの前、ニーナは周囲に誰もいないことを確認すると、キー・カードを差し込んでみた。

-シュン!-

(やった!開いた!すごいよ、ロボクルック!)

思わず心の中でバンザイをする。
そして1歩中に入って立ち止まる。

見学の時、入り口付近のフロアの床に警報装置が仕掛けてあると説明していたことを 覚えていたニーナは、チーシャから置きみやげとしてもらった警報装置探知機を作動させる。

注意深く1歩1歩進みながら、転換コイルが取り付けてある一角に近づいていく。
すぐ目の前にそのパネルはあると思うとイラついてくるが、おそらく1歩でも踏む床を間違うと、警報装置がけたたましく鳴り始めるはずだ。

そうなったらもうアウト。
逮捕されれば、良くて泥棒、悪くてスパイとして処分されるだろう。

だから、これが最初で最後のチャンス。
一度でも侵入者があったとなると、今の警備システムのままは期待できそうもない。

探知機は、チーシャが脱出を計るとき自分で作ったと言っていた。
だから、性能は確かなはず。

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「急がば回れって言うから・・・慌てない、慌てない・・・。」

転換コイルの取り付け場所が分かっているから、さっさと近づいていきたいが、逸る気持ちを抑えて、前後左右を探知機で確認しながら、確実に安全地帯を進む。

「ふ~~・・・・」

ようやく転換コイルの取り付け場所、アクセスパネルの前まで無事にたどり着いた彼女は、思わず神に感謝していた。
神など信じてはいないが。

それと探知機をくれたチーシャにも。

が、ほっと気を抜くのはまだ早い。
作業はこれからだ。そして、遠足は家に帰るまでが遠足なのである。

彼女は注意深くそのアクセスパネルを外す。
勿論警報装置が仕掛けられていないことは、手を出す前に確認した。

パネル内は普通なら眩しすぎて何も見えない。
が、以前アーセラスの ヴェーダから買ったアメーバ・コンタクトのおかげで、光の直撃は受けなかった。
眩しさも さほどではない。

まさに幸運が幸運を呼ぶというそれ。
ニーナはすばらしくいいアイテムに恵まれていた。

それらのうち1つでもなかったら、転換コイルの持ち出しは不可能だった。

それゆえ、通常ならば絶対に盗み出せないという仮定で、そこを立入禁止区域にしているのみで、巡回時間の兵士による見回りと、床の警報器、ドアロックでの警備で万全とされていた。

それに誰が転換コイルなんてものを盗むと言うのだろう?

彼女は開けたパネルから中に手を入れると、より一層注意深く、それを固定しているコードを1つ1つ外し、そっと転換コイルを取り出した。

チーシャほど技術も知識もないが、一応、プリンセス・ブルー号で将来スターパイロットとして独立できるよう、必要な知識、技術のレクチャーは受けていた。

船の故障の応急修理くらいできるし、コイルを外す、などということは、そう大した技術を要するものでもない。
基本に忠実にやればニーナでもできる。

「さーて・・・早いとこずらかろう。」

ニーナは転換コイルを持ってきた大型バッグにしまうと、入って来たときと同様に床の警報装置を調べながら、慌てず騒がず1歩ずつ進み、通路に出た後はきちんとドアロックも確認して注意深く船まで戻る。

ふ~~~~~・・・・。

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後は逃げるが勝ち

「案外簡単だったよね~・・。」

「お疲れ、ニーナ。」

無事コスを離れた船の中で、ニーナは今自分がしてきたことを思い出していた。

「ついに犯罪者になっちゃったけど、これでワープ航法が完成すれば科学の発展のためにもなるし、延いてはファーアーム、それから帝国の為・・・になるよねえ?」

ワープ航法が確立されたら今よりぐっと便利になる。
マリーゲートのないところだって短時間で行き来することができるようになる。
腐食成分が充満しているワームホールを通過しなくても良くなる。

「コスの足止めにもあるよ?」

ニーナを元気づけようとでもいうように修理ロボットのリズが付け加える。

「なるかどうかわからないけどね。
帝国の輝ける法のシンボル、航空母艦コスなんだから、転換コイルのストックくらいあるだろうし、盗まれたなんてヘマ、公表しないような気も……する。」

「うん。」

「でも、盗んだことがばれたら?」

そう思うとあとが恐かったが、やってしまったのは仕方がない。
誰にも見つからなかったし、指紋を残すようなへまは、してこなかったつもりだ。

ニーナは「なるっきゃないか。」と改めて腹をくくった。

と同時に、今ひとつニーナの脳裏に浮かんだ心配、つまり、”今現在備蓄されている電力が消費されたとき、転換コイルをなくし十分な電力を補充できなくなったコスが、その機能を停止して罪もない人々まで共に宇宙 の藻屑に”、という考えを頭から消し去った。

「それに、軍用艦があれだけあるし、万が一のことが起きても大丈夫だよね。」

救命ボートよろしく、空母に停泊している軍用艦や民間艇に収容すれば大丈夫…のはず!

「でも調査して、犯人像が私に絞り込まれたら・・・そうしたら、もう立派なお尋ね者だね。
それとも、あそこの部署の人が、気づかなかったという自分のミスを隠すた めに、内緒でスペアのコイルをはめ込んでおく…とか?」

とにかく、不幸なことは起こらず、盗んだこともばれないようにと勝手なことを祈りながら、ニーナはゼッド星系を目指した。

「あれ?ニーナ、公妃様に頼めば、本国から転換コイルくらい手にいられるんじゃないの?」

「ああーーー!しまったっ!その手があった!!」

リズの突っ込みに青くなったが、今更そうかといって戻しに戻るわけにもいかず、それに本国からの輸送を待っていては何日かかるかわからない。
しかも、マンチーの攻撃が多いことから通常の帝国からの便は途絶えているということだから……

「ううん、リズ、きっと盗んだことは正解だった…と思う。」

それでも、タルゴン隊長から今までの調査結果を聞いたら、公妃様にお目通りして転換コイルを頼んでみようと思ったニーナだった。

それに、事情を公妃様に話せば罪人にならずにすむ…かもしれない。

「リズ!ゼッド星系内はマンチーが多いから、頼んだよ!」

「おっけー!修理はあたしに任せといて!」

 

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