SFスペースファンタジー「星々の輝き」34・謎の提案

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グリフォン星系、コンベック・イースト社の採掘ステーションにいるオマス牧師をたずね、彼から依頼された奥さんについての報告をするニーナだ。

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SFスペースファンタジー「星々の輝き」34・謎の提案

ニーナはグリフォンのコンベック・イースト社の採掘ステーションに来ていた。

オマス牧師はここにいるのだが、どうも行きづらい。
相談してからでも、と思 い、ニーナは親しくなった坑夫マシューを探すため『不潔酒場』に入った。

転換コイルがたったの100クレジットで!?

「おい、兄弟、取り引きしないか?」
入るとすぐニーナは、ロボクルックに声をかけられた。

「またあんたなの?まさかあんた、私の後でもつけてきてるんじゃ?」
ニーナは疑いのまなざしでロボクルックを見た。

「あっしが、そんなことするように見えるんですかい、兄弟。
単なる方向が一緒ってや つでやすよ。
そんな事より、100クレジット。
あんさんは運がいいから、きっと 今回もいいもんがでると思うんでやすが。」

「だいぶ言葉が乱れてきてるよ。大丈夫なの?」
会う度に言葉が少しずつ変わっていくような気がしていた。

「だいぶ錆が内の方までまわってきちまってやすからねぇ・・。
なんせオーバーホー ルに出される途中で、逃げちまったもんでやすから。
手に入ったありあわせの部 品で、あっしが自分で直してるんでやすよ。」

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「まあ、何でもいいけど・・はい、100クレジット。」
ニーナは100クレジット渡すと、早速カバンに手を入れた。

今回は少し大きいものが手に当たったので引っ張り上げてみる。

「転換コイル!」
ロボクルックはその目をぱちぱちさせながら言った。

「え?」

「なんであんさんばっかりいいもんがでるんだ?」

「そ、そりゃー、日頃の行いがいいからだよ。」
首を傾げているロボクルックに答えるニーナの表情も”やった!”とばかりに輝いている。

と、急にロボクルックの手が伸びてきたかと思ったらその転換コイルをニーナの手から取った。

「何するの?」

「こいつぁー駄目でやすよ。壊れてる・・。
残念だったでやすな、兄弟。」

彼は隅にあったダストシュートに、ぽいっと捨てるとそそくさと酒場を出て行ってしまった。

「ああーん、せっかく転換コイルを手に入れたと思ったのにぃ!」

「駄目だぜ、あいつの持っている転換コイルはよ、いつも壊れてて使いもんにぁ、なら ねーんだ。」

「え?」
振り向くとそこにはなつかしいマシューの顔があった。

「よっ、ニーナちゃん!!お帰り。」
マシューはにこにこしてニーナを見つめていた。

「ただいまっ、マシュー。元気だった?」

「もっちろん!!ただ・・オマス牧師が・・・。あっそーだ、見つかったか?」

「ん・・一応はね。」
急にニーナは、沈んだ顔つきになる。

「やっぱり、予想通りだったってこと・・か。でも、しかたないよ。」
マシューの表情も沈む。

「とにかく、牧師さんにゃー、話した方がいいな。ありのままをよ。」
「ん、そうよね、やっぱり。」

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サイオニック・シールド

ニーナはマシューと一緒にオマス牧師に会いに行くことにした。

「カオス・・・破滅・・君には見えないのかね?」
相変わらずオマス牧師は捕まえる人毎にそう話しかけていた。

「オマス牧師、ただいま!!」
ニーナはわざと元気良く彼に声をかけた。

「ああ、ニーナ・・お帰りなさい。」
振り返ったオマス牧師は、ニーナたちに力無く微笑んだ。

「で、どうでした?」
オマス牧師は、ニーナとマシューにイスをすすめながら、黙った ままでいる、ニーナ達に聞いた。

ニーナは、ここへ来る途中、マシューに話したと同じ事をオマス牧師にも話した。

「私の恐れていた通りだ。」
黙ってニーナの話しを聞き終わるとオマス氏の声は、暗く 沈んでいた。
彼の頬を涙が伝い落ちる。

慰めの言葉も思いつかないニーナ達は、黙って彼を見つめているしかなかった。

「ああ・・・。」
しばらくうなだれていたオマス氏は、深いため息を着くと、彼の首 からペンダントを外して、ニーナに渡した。

「これは?」

「それは、魔除けのお守り、とでもいいましょうか・・。
サイオニック・シールドと 言うんですが、これで、彼らから身を守ることができます。
私が持っていても、もう役 に立たない物です。
なぜなら、私は、もう彼らに捕らえられても一向に構わないからで す。」

「サイオニック・シールド?捕らえられる?」

「そうです。それをはめていると、ブラックハンドの奴らのテレパシーも効かないんですよ。
・・・私にはもう必要ないものです。」

「で・・でも・・・」

「いいんですよ、多分、あなたに必要となってくると思うのです。
そうですね、一度ヒアスラへ お行きなさい。
あなたの出発点であるヒアスラに。」

「ヒアスラに?」

「そうです。なぜだかそう感じるのです。
私はもう終わりましたが・・あなたは これからです。
道は依然として続いてます。」

「ヒアスラで何かあるんですか?何かわかってらっしゃるんですか?」

詰め寄るニーナに弱々しく首を振ると、

「お行きなさい。私が言えることはそれだけです。」

それだけを呟くように口にすると、牧師は足取りも重く奥の部屋に入っていった。

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「もう少し落ちついたら、俺が慰めとくよ。
女はいくらでもいるんだからな。
牧師さんの事だ、 きっとすぐ立ち直ってくれるよ。俺はそう思うんだ。」

オマス牧師の姿がドアの向こうに消えると、マシューがため息をついてから、それでも大丈夫だと笑みを見せてニーナに言った。

「ニーナがすべきことはこれからみたいだからな?だろ?」

「う、うん。」

(そう、ここで、一緒になって奥さんのことで悲しんでちゃ駄目なんだ。)

とはいえ、だから、自分が何ができるのか、どうすべきなのかは、さっぱりの彼女だったが。

「あと引き受けた依頼は、転換コイルだけで、これといった特別なこともないんだけど…」

「ああ、それでさっきの壊れていた転換コイルに、あんなにもがっかりしてたのか。
だけどな、ファーアーム広しといえど、転換コイルを扱ってる業者もなければ、ましてや作ってる工場もないぜ?
なにしろ、ファーアームはそういったものの原材料発掘用の、いわば、星系ネットワーク全体が鉱区のようなもんだからな。」

「そうよねー……。」

溜息をついてニーナはしばし考える。

「うん、わかった。牧師さん、おススメのヒアスラへ行ってみる。
ここで鉱石買っていけば、丁度いい取引もできるし。
それに牧師さんが人に提言するなんて珍しいから。」

「そうだな、それがいいぜ。」

この先自分にどんなことが降りかかるのか、どんな状況に追い込まれるのか、オマス牧師には観えていたような気がしたニーナは、思わず牧師からもらって首にかけているペンダントをぐっと握りしめる。

「後はおいらにまかせておけ。」というマシューにまたしてもオマス氏のことを頼み、ニーナは カロノス星系にあるヒアスラ・スターベースへと向かった。

 

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