SFスペースファンタジー「星々の輝き」33・コス提督の野望

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チーシャと分かれた後、グリフォン星系の拓殖基地にいるオマス牧師への調査報告のため、ニーナはアークチュラス星系の宇宙空間に常駐している航空母艦コスへ、船の修理に立ち寄る。

このアークチュラス星系にあるマリーゲートからグリフォン星系に行く予定だ。

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SFスペースファンタジー「星々の輝き」33・コス提督の野望

ニーナは、アーマー修理のため航空母艦コスに来ていた。

以前ここへ来たとき、観光案内するからと言って、アンドロイドの案内嬢に通関手続き申請書を取り上げられてし まったニーナは、彼女が何と言ってきても無視することに決めていた。

「だいたい、あのとき、また手続きを取りなおさなきゃならなかったんだから!
預かるなんて言ってお いて、あとは知らん顔してたんだもんね。
今度は私がそうしてやるんだ。」

ニーナは、結構根に持つタイプらしい。

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「そう言えば・・・コスには『転換コイル』があったよね。
確か、あのアンドロイ ドが、得意げに言ってた。
87兆Gワットのエネルギーをチャージして、反動物質を作る、とか。」

いろいろ考えながらぶつぶつ独り言を言っていた。

勲章と義足の大男

「あっ、いけない、入り口を通り過ぎちゃった。」

知らず知らずの内に、民間艇ではなく、軍用艇のデッキの方まで歩いてきてしまっていた。

急いで入り口まで戻ろうと振り返った彼女の前に、制服姿の大柄な軍人が立っていた。

「用件を言いなさい。」

おびただしい勲章が下げられていた彼の胸元につい見入っていたニーナは、用があると思われたのか声をかけられてしまった。

木製の義足を踏みならしながら吠えるような大声でだ。

「あ・・・すみません。ちょっと、迷ってしまって・・・。」
見るからに恐そうな顔である。ただでさえ軍人は苦手なのに、彼の威圧感の前に小さくなる。

「あの・・・」
ニーナの視線が胸元から足に移ったことに気づいた彼は、連星間戦争で失くしたのだと話した。

連星間戦争とは、このファーアームでの革命軍と帝国間の戦争で、2303年、革命軍の壊滅という形で終わっている。

その時の活躍を認められ、コス提督の名がこの航空母艦につけられているというわけだ。
そして、その連星間戦争のとき、コス提督は両足を失くした。

ニーナが思うに、どうやら彼はコス提督の崇拝者らしい。
提督をすごく褒め称えるのだ が、その反対に、ファーアームの住民に対しては、憎さ100%!守ってやる必要などないといった感じを受けた。

「ファーアームのみんなが、みんな、その残党じゃないのに。」

ニーナは彼の言い方に少し怒りを感じた。が・・彼に意見できるわけはない。

「何か言ったか?」

「あっ、いいえ。」
その鋭い視線にびくっとし、慌ててニーナは打ち消した。

あと、彼は『タルゴン隊長』なる人物のことも話してくれた。

コス提督に次ぐ軍人の中の軍人であり、優れた役人、パイロットでもあった彼は、公妃様の警備隊長にまでなったのに、いつのまにか、姿を消してしまったと教えてくれた。

「どうしたのかしら?」

「そんなことは知らん。おっと、時間だ。」

そう言うと彼は、義足の音を大きく響かせ足早に立ち去った。

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ニーナは、彼の後ろ姿を見ながら、チーシャを送り届ける前に寄ったデネブプライムでの酒場の主人の言葉を思い出していた。

「タルゴン隊長が公妃アベンスター付きの帝国警備兵を止めたらしい。」

「噂では、どうやら機密に関する点で、公妃様と揉めて辞めたらしいんだ。
いい人だったのに、惜しいことをした。」

「あの親父さんは、タルゴン隊長のファンなんだよね、きっと。誉めてたからね。
後は・・ そうそう、ヒアスラ皇帝が退位するような事も言ってたっけ。
マンチーに対す る処遇が手ぬるいとかで。『もっと勇気のある者を皇帝にすべきだ』と議会でも議論 している、なんてことも言ってたっけ。
でも・・ちょっと待って・・・そうすると、ここのところ襲撃が多くなってきているマンチーと全面戦争でもしようっていうの?
皇帝はもう高齢だから指揮なんかできないから、全軍の指揮権はコス提督にいくのよね?
・・・それで、勝利を収めることで名を上げて次期皇帝に?!」

ニーナの頭の中のクロスワードパズルは、何となくだが、部分的には解けてきたようだった。

まだまだ謎の方が多いが・・・。

「とすると・・・平和を望む公妃様とは当然敵対してるってことよね?
で、ここは、公妃様の敵陣ってわけか。」

立ち去った大男の軍人もマンチーと同じくらいファーアームの住民も嫌っていた。
そして、それはコス提督もそ うなのだと彼は言っていた。

「そうよ!マンチーとの戦争で、ファーアームなど破壊され尽くしても、そんなことは 提督にとって問題じゃない。
勝てば、自分が皇帝になれるんだ。憎いファーアームを犠牲にして。
提督にとってまさに一石二鳥!!」

ニーナは自分ながらその考えに身震いがした。

「でも・・それを知ってどうなるんだろ?
コス提督の野望を知ったところで、 相手が、これじゃぁ・・・。」

ニーナはその巨大な空母を見つめなおしていた。

「というか、私がバタバタすることないのよね。
航空母艦は1個人がどうこうできるものじゃないし。
……でも、公妃様にはお伝えした方がいいのかなぁ?
どうなんだろ?余計なおせっかい?
それとも、すでに把握済み?」

ニーナは頭をブンブン横に振った。

(やーめた、考えても始まらない。
私が対処できる問題じゃないわ。)

ひとまず、オマス牧師のところへ急ぐことにした。

 

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