SFスペースファンタジー「星々の輝き」27・ナーシー星系の知的巨大爬虫類

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デネブ星系からナーシー星系へと向かうニーナ。
フェルセーン博士から依頼された調査、シシャザーンという巨大爬虫類に会うことが目的だ。
知的生命体だというシシャザーン。略称シシャ。
太古、彼らは知能のない乱暴な種だったという。
今現在、高度な知識を持つ知的生命種となった彼らの一人に、太古の呼び名を言って、その反応を報告するという、なぜそんなことをするのかニーナにとっては訳のわからない依頼だ。

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SFスペースファンタジー「星々の輝き」27・ナーシー星系の知的巨大爬虫類

気は進まなかった依頼なのだが、引き受けてしまった限りはやらないとという使命感と、マップにあるかもしれない航海日誌への興味とで、ともかく、ニーナはナーシー星系とやってきた。

ナーシー星系には、採掘ステーション『ラグランジェ』がある。
この星系で立ち寄れる唯一のステーションだ。
鉱物の産地であるここは、農作物が極度に不足しており、ハイテク製品以外に穀物なども高値で売れる。

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航海日誌発見

新しい星系に来たらまず最初にすることは、マップのクエリーだ。
やはりこの星系にも航海日誌が隠されていた。

12月22日

ここにはスパイがたくさんいる。
もしかしたら、気づかれたかもしれない。
何とかしなくては!

「うーん・・・自分の名前くらいどこかに書いておいてよぉ!」

またしても参考にならない内容で、まだまだ謎解きはできそうもない。

「スパイねー・・公妃様の部下っていうのが本当だったとしたら・・多分敵対している派閥か何かのかな?」

だとしたら、この謎解きをしてもニーナにとっては意味がない?

「うーーん・・・・下手に宮廷の勢力争いに関わらない方が無難だし、もし、その件でこの船の持ち主が行方を消したのなら、これ以上調べると私へもその危険が迫ってくるかもしれないわね。
たとえ関係なくっても。」

ニーナは、一瞬背筋がぞくっとした。

マンチーがプリンセルブルー号を破壊したこととは、別件のようにも思えた。

「・・・でも、この船を手放すわけにはいかないのよねー。」

生活の糧なのだから。
このジョリー・ロジャー号がなければ何もできない。
生活ができない。

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ナーシー星系の知的巨大爬虫類

ステーションに到着するとニーナはまず仲買人を訪ね、手っ取り早く仕事を済ませる。

そして、ついでにシシャザーンのことを聞いてみた。

「ああ、知ってるもなにも、あんた、今ちょうどそこの酒場に呑みにきてるよ。
おかげで今日は、客の入りが少ないだろうよ。」

「おかげで、って?」

「ま、見てからのお楽しみってとこだね。
俺も今日は早終いするよ。
『何かないか?』なんて立ち寄られたら・・・」

ニーナとの話も途中のまま、仲買人は、シャッターを下ろすと、早々自分の居住区に帰っていった。

「そんなに恐ろしいのかなぁ・・・どうしよう・・・大変な事、引き受けちゃったみたい。」

ニーナは半分後悔しながら、それでも勇気を奮い起こして酒場へと向かった。

ラグランジェの酒場はステーションの1Fにあるものの、普通の所とは異なっていた。

その四方を壁、床と天井に囲まれた部屋ではなく、ドームなのである。

常に壁で囲まれている坑夫たちが圧迫感から解放され、また、星空を見ることができることにより、気分転換になればという配慮で作られた施設だ。

が、その為その高い天井が功を奏したとでも言うのだろうか?(悪かったのかも)とにかくそのおかげでシシャザーンが立ち寄るようになったと仲買人は言った。

彼らは、ごく普通の高さでは入れないのだ。

(巨大と聞いてるから、大きいんだろうけど……)

酒場の一歩手前で一瞬躊躇したが、思い切ってニーナはドアに向かう。

-シュン!-

開いた入り口から恐るおそる覗いたニーナの目に写ったのは、満天の星空の広いドームと奥のカウンターに腰掛けている、シシャザーン。

彼(?)は何から何まで肉食恐竜そのもの。

その大きな身体は、いかにも堅そうな緑色の鱗でおおわれていて、背中から尻尾には鋭く固そうなとげが生えている。

「や・・やめようかな?」

その後ろ姿だけでも腰砕けになったニーナは、そのまま酒場を後にしようと足を後ろに運ぼうとした。とその時、横を向いたシシャザーンの横顔が見える。

ニーナくらい一口で丸飲みできそうな程大きなその口には、剃刃のように鋭い牙が生えている!!

肉厚で真っ赤な舌。
一目で相手を凍らせてしまいそうな鋭い視線。荒い息。

何故今日は客が少ないのか、何故、仲買人が早々帰ってしまったのか・・・見当はついていたものの、やはり目の前にすると、一層恐ろしさが身近に感じられる。

(フェルセーン博士って、少なくとも一回は来た…のかな?で、怖くて声をかけられずに戻った?)
そんな考えがニーナの脳裏に浮かぶ。

(宇宙大学の教授たちの間の罰ゲームなんじゃ?)

侮辱する言葉などを浴びせたら怒りを買って一口に食べられそうである。

(ごくり…)

ニーナは思わず唾をのみ込むと、そこを立ち去るため、そぉっと後ずさりしはじめた。

「おチビさん、そんなところに立ってないで、一緒に呑まないかね?」

酒場中に響きわたる低い声に、ニーナはびくっとして後退しかけた足を止める。
声から判断して男性だと思えた。

そのまま走って逃げるのもありだったような気もするが、目があってしまい恐ろしさで動けなくなっていた。

恐るおそる声の主、シシャザーンを見ると、彼の瞳は一応穏やかにみえた。

「あ・・あ、あの・・・・」

ドアの所でどぎまぎしているニーナを暫く見つめていたシシャザーンは、その大きな手でおいでおいでをしながら再び声をかける。

「面白そうな奴だな。逃げるのか逃げないのか、どっちなのだね?」

「あ・・え、えっと・・・・」

どうやらニーナが今どんなことを考えているか、いや、考えられずに真っ白になっているか、その心理状態は察しているらしい。

「逃げないのならここに座らないかね?
いっぱいおごろう。今日は気分が良いのだよ。」

「は、はあ・・・・」

そこまで言われては、今更逃げられない。
ニーナはのろのろと引け腰でシシャザーンが座っているカウンター席の横に近づいていった。

「私はボルフ。シシャザーンの哲学者だ。キミは?」

「は、はい。わ、私はニーナです。
き、今日はじめてここにきました。
貿易商をしてます。」

「ふむ、よろしく、ニーナ。
ここのバーはなかなかいけるシシャ・ビールを置いてるよ。」

ニーナに向かってジョッキを差し出すボルフ。
カウンターの中では、こわばった顔をした酒場のバーテンダーが、ジョキを受け取るように目配せしていた。

「あ・・ありがとうございます。
じ、じゃー、お言葉に甘えて・・。」

ニーナは覚悟を決めて、カウンターのイスに腰を下ろす。
彼女の顔は、蒼白だった。

「いつも1人で寂しく思ってるのだよ。
いや、1人でじっくりといろいろ考えるのも良いものなのだが。
だが、時には酒の相手、話し相手が欲しいと思うこともある。」

「そ、そうですね。」

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「貿易商ということは、いろいろなところへ行くのだろう?」

「は、はい。」

「私はこの星から出たことがないのだが、
どうだろう?ここで知り合ったのも何かの縁だ。
私を連れていってはくれないか?
あちこち旅をしてみたいのだよ。」

「あ……そ、そうですか。で、でも、お気持ちは分かりますが、私の船は小型艇なので……あ、あの、サンレーサーといってホントに小型タイプの……」

体のいい断り文句だと思われて、ボルフの怒りを買ってもいけないと思い、慌てて船のタイプを教えるニーナ。

「ふむ、小型艇のサンレーサータイプか。しかし、クルー用はともかく、貨物庫はそれなりのスペースはあるのではないか?」

どうやらニーナが期待した以上に、スターシップの知識もあるようだ。
慌ててニーナは忙しく次の言葉を考える。

「あ、いえ、人を貨物庫に乗せるなんて失礼なことは、で…できません。」

「珍種の猛獣や動物は運んでも…かね?」

「あ……は、はい。」

ニーナは、その時ボルフがふっと満足そうな笑みを見せたような気がした。

 

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