SFスペースファンタジー「星々の輝き」16・オレンジ色に光るマリーゲート

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SF・スペースファンタジー「星々の輝き」は、宇宙ひとりぽっちの少女ニーナが大活躍する英雄・冒険譚。

今回は、サー・エルドからもらった紹介状を握りしめ(?)、同じくサー・エルドからもらった窮地に陥った時の神頼み的な装置を愛船ジョリーロジャー号に取り付け、いよいよ星系外へ出ることにしたニーナのお話です。
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ヒアスラスターベースで別れの杯?

再びヒアスラスターベースに戻ると、ニーナはヒアスラのバーの主人に会った。
そう、ここカロノス星系を離れるということを伝えに。

それぞれの星系間をつないでいるのは、マリーゲートというワームホール。何万光年離れていようと数秒~数分で目的の星系につくわけだが、それだけに危険もあった。

まだ死ぬつもはないが、万が一、星系間ジャンプ失敗ということもある。しかも最悪な形で。

ということで、そう、万が一のことに備えて、見ず知らずの自分に良くしてくれた酒場の親父にお礼を挨拶をしに行ったのである。

「おお!がんばってこい!土産頼むぞ!」

一番高値の品、スーパーコンピュータを満載して出発するばかりのニーナに、酒場の親父はにこやかに手を振る。

いよいよ星系間ジャンプ

そして、スターベースを出てから数日後、船はグリフォン星系に繋がっているマリーゲートの座標位置で、自動航行を停止した。

マリーゲートとは、星系同士を短時間で繋ぐワームホール(ワープ効果が得られるトンネル状のホール、いわば通路のようなもの)の入口である。

帝国の科学は、ものすごい勢いで進歩しているとはいえ、理論上はともかく、その実まだワープという航行手段は発明されていない。

宇宙歴2217年にイオンストームに遭遇したリーディング・エッジ号が、偶然見つけたのがマリーゲートだった。

それを発端に、マリーゲート探索が行われ、現在のようがなネットワークが形成されていることが分かったことにより、ファーアーム星系群は一躍大発展したのである。

星系間移動を短時間で可能にしたそれは、それまでの冷凍睡眠艇による旅行とは比べ物にならないほど、画期的な方法であり、大発見だった。

だが、誰が、いつ、どうやってこのゲート及びワームホールを作ったのかは、今もって不明である。

しかし、そんなことは、さしたる問題でもなく、人類には何の害もないという安全性を確認されてからは、どんどん利用されてきている。

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オレンジ色に光るマリーゲート

六角形の巨大なシリンダーのような形のゲートが、遠くに見えた。


(あくまでイメージ画像です。画像が六角形でなく円+オレンジ色でなくすみません)

ニーナは、自動航行から手動に変えて、コースを船の方に向いているシリンダーの口の部分へと修正し、エンジンを噴かす。

近づくにつれ、そのオレンジ色に脈打つエネルギーの炎が見えてくる。
そこが、ワームホールへの入り口だ。

ニーナは最後のコース修正を行うと、スピードを21m/sec以上になるように上げた。

これ以下だとワームホール効果を得られず、船はマリーゲートを素通りしてしまい、また元の宇宙空間に戻されてしまうのだ。

ワームホールは、長くて深い筒状になっている。
連続した巨大な光の輪の中を進むのである。

それはちょうど光でできたフラフープがいくつも連なってトンネルを作っていると言ったらよいだろうか。

自動操縦での航行は不可能であるそのホール内では、自分の目と腕だけが頼りなのである。

曲がりくねったワームホールの中で船をその中心にキープするというのは、結構、技術が必要となる。

つまり、スクリーンに写る光の輪をじっと見ながら、ひたすら自分の手で操縦し続けなければならないのだ。

それに加え、短時間で他の星系に行くことができるワームホールの通過には、その便利性とは裏腹に、危険性が伴っていた。

その危険性というのは、ホール内に充満している腐食ガスが、船体のアーマーにダメージを与えるからだ。
もちろん、アーマーが破壊されれば、次は船体が破壊される。腐食ガス故に溶けていくのである。

そういうわけで、できる限り早く通過しなければならないのだが、途中でその光の輪から飛び出てしまった場合、それまでの苦労は水の泡に帰し、入口である、元の星系のマリーゲート付近にはじき出されてしまうのだ。

アーマーは浸食され、星系間ジャンプは失敗。
こういう場合は、得てして不幸なこともプラスされることが多い。

つまり、ニーナたちが所属している帝国と敵対しているマンチー(彼女の母船を破壊した種族)艇や、海賊船と遭遇するというケースがなぜか多いのだ。

そして、通常マリーゲートの近くには、ステーションやスターベースはないと来ている。

アーマーが下がった状態で攻撃をしかけられてはたまったものではない。
修理は勿論、宇宙基地に逃げ込むこともできず、ぼろぼろの船で戦う羽目になるのだ。

少しでもアーマーダウンを軽く済ませるため星系間ジャンプに挑戦する者は、ワームホール航行中、進路、つまり、曲がりくねった光の輪とアーマー残量の計器との両方を常にとらえてなければならない。

『アーマー0』、それは、船体がその腐食性ガスに侵され、ぼろぼろになった事を意味する、そして、イコール『死』を意味する。

窒息死するのが早いか、身体が溶けていくのが早いか、だろう。

目的の星系のゲートに出るにせよ、ジャンプ失敗して元の星系のゲートに飛ばされるにしろ、アーマー残量数は、非常に問題となるのである。

帝国の研究者は、この腐食を防ぐ『ヌル・ダンパー』を開発したらしいのだが、関税やその確実性の問題等で、まだ市販されていない。
いや、そんなものはうわさだけで、そんなものはないとさえ言われてもいる。

ニーナがグリフォン星系に繋がったマリーゲートを選んだのは、ハイテク製品が高く売れるという事だけでなく、そう言った危険性を考慮しての上だった。

カロノス星系には、2つのマリーゲートがある。
グリフォン星系とデネブ星系へのワームホールだ。

自分自身で操縦して、ワームホールの通過をするのは初めてのニーナは、少しでも負荷の少ない短い方を選んだのは当然だろう。

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星系間の距離にほぼ比例してワームホールの長さは決まっている。
グリフォンまでは8光年、デネブまでは、なんとその2倍以上の17光年。
新米がどちらを選ぶべきかは明白である。

ニーナは今まで、プリンセスブルー号でのキャプテン達の操縦を思い出しながら、近づく次第に、大きくなっていくそのオレンジ色に脈打つエネルギーの炎を睨みつつ、コントロール・パネルの上で、指を踊らせ、懸命に操縦し続けていた。

「行くわよ、ロジャー!」

彼女は今や無くてはならない自分の相棒である、ジョリー・ロジャー号に、そして、自分に言い聞かすように呟く。

最悪の場合、『死』をもあり得るのだ。
その為、かわいがってくれた、ヒアスラのバーの主人と成功を祈って乾杯をしてきた。

「ブルー号のみんな、見守っててね。親父さん、必ずまた帰ってくるからね。」

ニーナは、そう呟くと、乗員としては何度か見たその美しく、そして、恐ろしくもある、明滅し、うねっている、ワームホールの入り口、オレンジ色の炎の中心に、船を進めていった。

巨大なマリーゲートに小さな宇宙船。

それは、まるで飛んで火にいる夏の虫?
無事星系間ジャンプができることを祈る!

 

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