SFスペースファンタジー「星々の輝き」番外編、さすらいのスターシップ

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これは、本編とは全くの別人のニーナのお話。
正直に全うに生きてこうとした彼女が、とある事件がきっかけで、その道を逸れ、一人雄々しく勇敢に生き抜いていくことになった1話完結のショートです。
(ちょっと長いですが・・・)

SFスペースファンタジー「星々の輝き」番外編、一匹狼・さすらいのスターシップ

『ファーアーム・スター・クラスター』とは、アーム帝国に属し、8つの星系が マリーゲートネットワークで結ばれた開拓地である。

その8つの星系の中の1つ、ヒアスラ星系のとある宇宙座標エリアを1基の 小型宇宙挺が飛行していた。

サンレーサー偵察挺タイプのその船体には『ジョリーロジャー号』と書かれてあった。

その船は、小型宇宙挺にしては滅多にみないほどの最高の設備を備えている。

つまり武器でいくと、粒子ビームのオートレーザーとNOVAミサイル。
貨物庫は8基。ターボエンジン、 最高クラスの敵ミサイル撹乱装置と前後シールドといった贅沢さ。

ここまで改良するのにどれほど時間と労力が費やされたことか・・・

とにかく、今、自動航行中のそのスターシップは、順調に航海を続けていた。

クルーはニーナ・シャピロと言う名の一見少年に見える少女。
そして、相棒の修理ロボットリズ。

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-ビー!ビー!ビー!-

突然、救難信号が飛び込む!

シートで仮眠を取っていたニーナはがばっと身体を起こし、 自動航行から手動に切り替え、素早くTACを起動させて状況を調べる。

「タンカーが海賊船に襲われてる!」
急いで攻撃準備に入る。

「リズ、準備はいい?」

「OKよ!オートレーザーの取り付けも終わってるわ!」

「サンキュ!・・よ~~~し!」
パネルを操作する手に自然と力が入る。

オートレーザー・・・照準さえ合わせれば、自動的に連射砲撃してくれるすぐれもの。
つい先頃入手したばかり。
これで、それまでと比べものにならないほど戦闘は楽になるはずだ。

ニーナは、期待に胸を膨らませながら、タンカーを援護すべく近づいていった。

「よ~~し・・もうちょっとで射程距離内だ。」
海賊船に照準をロックオンして突き進む。

と・・その時、その照準を定めた軌道上に逃げまどうタンカーが入った。

-パキュ~~~ン!チュ~~ン!チュイ~~ン!-

「あああっ!し、しまったっ!」

自動繰射が仇となった。
ニーナのビーム砲は、射程距離内に入ると同時にタンカーに連射されてしまった。

しかもタンカーはアーマーが下がっていた為、ひとたまりもない。
攻撃は、まともに船体にダメージを与えた。

『く・・くそぉ・・またしても海賊船か?
挟み撃ちとは卑怯な?!』

オープンになっている無線機にタンカーの船長の声が飛び込む。

「え?そ、そうじゃなくって・・・・」
焦りまくるニーナ。

が、その間もレーザーは発射されている。
「ととと・・・・」

慌ててニーナは、照準を外す。

が、今度は逆に、ニーナも海賊と思いこんだタンカーからミサイルがお見舞いされる。

-ズッガーーン!-
しかも命中・・・・。

「ええ~・・そ、そんなぁ・・・」
あたふたしているうちに本物の海賊船からとどめの1発を受けて、タンカーは大破した。

-フィンフィンフィン!-
今度は警報がなり始める。

海賊船は明らかにジョリーロジャー号に狙いを定めている。

「んとにもぉ~~!」
頭にきていたニーナは、今度は100%海賊船に照準を合わせ、攻撃し続ける。

その結果・・海賊船の大破で終わったが・・ニーナの自尊心は傷ついていた。

「ねー・・リズ?」

「な~に、ニーナ?」

故障個所の修理を終え、隣のシートに座ろうとするリズにため息をつきながら話す。

「私って・・海賊として記録されちゃったかな?」

「さあ?さっきのタンカーの生存者はいないんだし・・でも、映像でデータを送っていれば、 その可能性あるかも?」

「やっぱりそうなる?」

「でもって、ご丁寧に海賊船もやっつけちゃったでしょ?」

「うん。だって攻撃してくるんだもん、しょうがないでしょ?」

「それはそうなんだけど。
1匹狼の海賊船だったらいいけど・・・ギルドに入ってたりしたら・・・ そっちからも敵視されちゃうだろうね。」

「そ、そんな脅すようなこと言わなくてもいいでしょ?」

事の重大さに気づき、ニーナはつい大声を出してリズを睨んでしまった。

「あたしを睨んでも仕方ないでしょ?」

「・・・・なんとか誤解を解く方法・・・あるかな?」

「さあ?・・・・とにかくアーマー修理に近くの基地へ行く事が第一じゃない?」

「ふう・・・・」

どっちが主人だか分からない状態だった。

気落ちするニーナを修理ロボットのリズが一生懸命元気づけていた。

が、そこはロボット。
間違ったことは言ってないのだが、ともすると ますます落ち込むような、あるいは、脅迫めいたことを口にする。
リズ本人はその気はないのだが・・・。

「でも良かったね。」

「何が?」

「だって・・もし間違って基地を撃っちゃうと入港許可下りなくなっちゃうから、 それよりいいよ!」

「それはそうだけど・・。」

しばし考えるニーナ。

「あれ?基地って攻撃できないんじゃなかった?」

「通常はね。でも、基地の真ん前に敵がいた場合、誤って基地を撃ってしまうこと だってあり得るんだよ。」

「そ、そっか・・・。気をつけなくちゃねー。」

「うん。」

そして、マイコン2拓殖基地へ立ち寄ったニーナは、バーの壁に貼ってあった賞金首 の張り紙を見てぎょっとする。

基地内はたとえ兵士であっても、罪人を捕まえることですら、禁止となっている。
あらゆるごたごたは 基地の外で。というのがファーアームの掟である。

従って、賞金首と賞金稼ぎが基地内で顔を合わせても、どうしようもない。

騒ぎを起こせば、膨大な罰金が科せられるだけ。

だから、たとえニーナの手配書があってもどうってことはない。

が、ニーナにとっては初めてであり、しかも意に添わない、つまり 誤解が生んだことなのである。
ニーナは真っ青になって船に駆け戻った。

「つまり船体名から割り出したってわけね?」
リズが納得するように呟く。

「・・・・・」
ニーナは、もはや相づちを打つ気にもならない。

「はーーーー・・・・・」
大きくため息をつき、シートにもたれかかる。

「まったく・・・決めつけなくてもいいのに・・」

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そして、弁明の機会もないうちに、それは決定的となった。

それは、またしても不幸と言う名の偶然・・・自動航行から手動に切り替えたそのとき、なんと僚船と衝突してしまったのだ。

その船はニーナの手配書を見ていたのかどうかはわからない。
だが、『この、ちんぴら海賊!』と叫ぶと同時に攻撃してきたのだ。

しかもその船からの援護要請を受け、やってきたのは、なんと帝国軍の大型戦艦、タイタン。

アーマーはニーナの船の2倍、加えてフル装備で攻防に長けた帝国軍自慢の軍艦なのである。

全長約98m、なんとジョリーロジャー号の約9倍もある。

勿論、ニーナが無線機で無実を叫んでも聞き入れてくれはしない。

「・・・・」

青くなったニーナはもうやけくそだった。

「やってやろうじゃないの?!」

タイタンに圧倒されてる間にもタンカーは、体当たりまでしてくる始末。

腹をくくって、ニーナは、タイタンと喧嘩をすることにした。
というか、向こうは撃破するまで攻撃を止めない勢いときては、そうするしかない。

リズの助言を受け、ニーナはオートレーザーで攻防しながら船をタイタンの死角にぴったりと寄せ付ける。

急にニーナの船が視界だけでなくレーダーからも消え、タイタンの兵士達が動揺している間に、船影に潜んだニーナは、すかさずオートレーザーとミサイルを発射する先方だ。

が・・・頑丈なタイタンのこと、その分厚い船壁をぶち抜くのは並大抵な事ではない。

そのうちミサイルは弾切れとなる。
レーザーは使えるもののやはり威力が違う。

そうこうしているうちにまた新たな軍艦でも援護に現れたら大変だ。

ニーナはレーザー砲撃に加えて体当たりを試みた。

これが、やけくそでなくてなんと言おう。

が、1秒でも早くタイタンを撃破し、そこから逃げることが要求されていた。

「なんでこんなことになっちゃったのよ~~っ?!」

ニーナは勝手にレーザーの標準内に飛び込んできたり、ぶつかってきた商船を呪いつつ必死で攻撃する。

「は~~・・ふ~~・・な、なんとか切り抜けた・・・。」

「すごいね!ニーナ!あのタイタンをやっつけちゃうなんて、夢のようだよ!」

「夢だったらどんなにいいことか・・・・・」

これで帝国軍からも睨まれることは確実だった。

貿易商、海賊、さらには帝国軍・・・勿論、ハンターと名の付く賞金首狙いの荒くれ共も敵である。

・・もはや八方ふさがりだった。

「いいや・・もう!こうなったら徹底的に生き抜こうじゃないの!一匹狼として!」

「おお~!カッコいい!ニーナちゃん!」

「・・・・リズ・・・・・」
ニーナは楽天家のリズがうらやましく思えた。

「修理は任せなさい!」

「はいはい・・・・。これでスターベースにはもう立ち寄れないねー。」

「でも、拓殖基地ならOKだし、スターベースでも・・確か袖の下が効くって聞いたことあるよ。」

リズがウィンクしながら言う。

「・・・どこの役人も一緒か・・。」

「そうだね。だけど、手配書の賞金額以上払わないとだめだとかだったよ。」

「・・・・もう・・なるようになれ!ってんだ!」

タイタンとの激闘と精神的ダメージのせいで疲れ切っているニーナは、がたっ!とシートを倒すと ふてくされた顔をしてそのまま眠りについた。

そして、数週間後、全てを割り切って一匹狼に徹したニーナの姿があった。
・・・獲物を追いつめるということに喜びを覚えるようになったニーナが。

だが、自ら進んで撃破まではしない。
一応、航行不能状態まで追いつめれば、とっととその場を離れる方針だ。

「な~に?まだたったの1000クレジットじゃないの!」

基地のバーに貼ってある手配書の賞金額を見て文句を言うニーナ。
彼女はいつの間にか、自分の賞金額が増えることに喜びを感じるようになっていた。

バーには基地から出たらその首を取ろうと目をぎらつかせているハンターがごろごろいる。

中には「穏便に済ませたかったらここで100クレジット払いな!」 と耳打ちするハンターもいた。

ニーナの外見から「弱い」と判断したらしいが、彼女はじろっと睨み一言。

「ハンターならハンターらしく宇宙で勝負して、堂々と1000クレジットもらったら?
何も好きこのんで100クレジットにまで下げることないじゃない?」

こそこそとその男が足早に去っていったのは言うまでもない。

「あんたたちにやられるニーナ様じゃないからね!」

基地から出航したニーナは、軽く鼻で笑うと群がるハンターを蹴散らし、自動航行に入る。

すでに心身共に一匹狼だった。

そして、その賞金は、急速に跳ね上がっていく。

数年後、彼女につけられた賞金は、30,000クレジットを越えていた。

ファーアーム広しと言えども、彼女以上の賞金首はいい。

この賞金額はゲームでの本当の額です。
これ以上は・・なかなかどれだけ襲撃しても上がらなかったです・・・/^-^;

最初の頃は、とにかく手当たり次第攻撃をしかけていたが、しばらくすると 獲物にもそれぞれ特色があることが分かってきた。

あまり気が進まないのはハンター。
これは結構しつこいし、撃破しても 1銭にもならない。
その上、引くことを知らないのが多く、気分がのらなくても 結局最後までつきあわないといけないからだ。

商人の船であるスコウかタンカーは結構楽しめる。

できたらタンカーの方がいいが、 とにかく、鬼ごっこが面白い。

そのほとんどが降伏を受け入れ、荷物を没収…略奪して終了だ。

が、静かに逃げればまだいいのに、未開拓地ファーアームは商人といえども結構血気盛んな人種が多い。
しかも荷を移動させる為に至近距離にいるということが彼らに要らぬ自信を与えてしまうのか、 甘く見て攻撃をしかけてくる奴らがいる。

結果は・・・命辛々逃げるか。木っ端微塵に大破するかなのであるが・・。

「そんなに死に急がなくてもいいのに・・。
それに、最後の1発って難しいのよね、手加減が。
せめてぎりぎりの線までアーマーが下がったら、即逃げてくれればいいんだけど・・。」

・・・ずいぶん勝手な言いぐさである。

そして、カーチェイスならぬスターシップチェイスが一番面白いのは海賊船。

攻撃の腕もいいので スリル満点なことこの上ない。

それに船名を確認できる物的証拠を手に入れていれば、それ相応の賞金も入る。

賞金首が賞金稼ぎとはおかしなことだが、可能なのである。

が、勝負に勝って一番充実感を得られるのは、大型軍艦タイタンを葬った時だろう。

金は入らないが、賞金額が一気に跳ね上がる。

タイタンに匹敵する大型海賊船コルセアとのチェイスも結構楽しめる。

が、こっちの場合は 賞金をもらえるのみで自分の賞金額は上がらないのが、ニーナにとって欠点と言えばそうなのだ。

彼女にとっては、どんどんつり上がっていく賞金額を見るのが最大の楽しみと なっていた。

が、たとえその為でも、見つけた船全部を襲うわけじゃない。

だから遭遇したからといって、即攻撃はしない方がいい。

結構無視してくれるから・・。

あなたの船が、タイタンかコルセアでない限り・・。

そして、クレジットの底がついてない限り・・商船を襲うことはない。

たとえ襲われても、積み荷を渡して即、逃げれば大丈夫。
深追いはしてこないから。

そう。撃破はニーナの意とするところではないのだから。

無理せず、やばいと感じたら逃亡か降伏を薦めます。

最悪でも航行不能状態で解放されるはずなのである。
命あっての物種。死に急ぎは止めましょう。

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「・・って、ステーションのメッセージボードに書いておいたのに・・
何故みんなそっちから攻撃を仕掛けてくるのよぉ?
まったくぅ・・命のいらない奴らばっかなんだから・・・。」

そうニーナの言うことには一理あった。
ニーナの船を見つけると、どんな船も 「ちんぴら海賊め!」とか「その小汚い首もらったぜ!」とか「宇宙の藻屑にしてやる!」 とか言って襲いかかってくるのだが・・・数分と持たないうちに救助信号を出す羽目になる。

で、そこまで窮地に追い込まれているのなら、さっさと逃げればいいのに、しつこく 攻撃してくる。

応援要請をだせば、ニーナがびびるとでも思っているのだろうか?

仮に、タイタンでも到着となれば、かえって彼女は手を叩いて喜ぶだろう。

タイタンなら2隻までOK!というのがニーナの自負である。

それ以上は・・・いくらニーナでもちょっとやばかった。
逃げるが勝ちである。

それ以外の船は問題外。何隻でもどうぞ。

ともかく、わきまえた戦い、それが生き残る鉄則だった。
ニーナは他の奴らのような無謀なことは、絶対しない。堅実派なのだ。

ともかく・・天性だったのか何なのか・・・・
ファーアーム内評価ランク『無敵』となったニーナ。
1匹狼としての人生を十二分に謳歌していた。

ファーアームのジョリー・ロジャー号・・・行くところ恐いものなし。

最強で最狂(?)のスターシップは、今日もファーアーム中を飛び回る。

 

SF・スペースファンタジー・星々の輝き・SpaceRogue・番外編 -完-

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