広大な宇宙、そして、無限の広がりをみせる異空間・・・
これは、宇宙・異世界・電脳そして現実空間を、愛に乗せ、命をかけて日々メールなどの宅配物をデリバリーしている2人の若き女性デリバラー(平社員)コンビの話である。
いわば、近未来スペース・ファンタジー?コメディーの1話~2話で完結のシリーズ作。
とはいえ、出てくるインターネット用語は、もう化石かもしれない年代に書いたものです(苦笑)
Contents
スペース・デリバラー・営業日誌1
その1・今日も係長の怒りで終業・・・は~ぁ・・・
「ぶっわっかも~~ん!!プレゼント(ウイルス)付きのメールを届けるとは何事だ~~~!!」
その日の終業も、係長の罵声で締めくくることとなった。
久美子と千里は共に社会人一年生。
『(有)スペースデリバリー』の配達課に所属し、なかなか慣れない仕事に、日々てんてこまいしている。
デリバリーカーに乗り、1歩移動空間に出れば、そこはならず者の闊歩する空間。
『ハッカー』という名の海賊や、『デベロッパー』という名の暴走族が待ちかまえている。
各種お宝(データ)を満載して航行するデリバリースペースカーは、とくに彼らの絶好の標的となる。
その海賊(ハッカー)や暴走族(デベロッパー)の放つ、ウイルス砲をかわし、あるいは、アンチウイルスビームで粉砕し、目的地まで行かなければならない。
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それは・・・のんきに大学までエスカレーターで出た久美子と千里にとって、あこがれだったが、非常に厳しい現実だった。
しかも・・・海賊(ハッカー)や暴走族(デベロッパー)たちは、新人だからといって、女だからと言って手加減はしてくれない。
容赦なく襲うウイルスビーム!そして、ワーム砲!
それに相反して、尽きかける彼女たちのバスター魚雷のストック。
(ミスばかりしている。)
が・・そこをなんとか切り抜け、無事?帰社したというのに・・・・
「やっぱり、あそこで暴走族(デベロッパー)が不意に引き上げたのって・・ウイルスをもうメールに照射した後だったんじゃない!」
「そんなこと言ったって・・ちゃんとメールを渡す前にウイルスチェックしたよ?」
久美子と千里は、係長の罵声の前、小さく縮みながら言い合う。
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「それにしても・・・報告(苦情)って早いよねー?」
「うん。」
「聞いてるのかね、君たちは?」
「あ!は、はいっ!す、すみませんでした!」
「ウイルス情報は常に最新情報にアップデートしておくように言ってあるだろう?
ウイルス探知機の情報が古すぎたんじゃないのかね?」
地獄耳の係長には、2人の内緒話も入っていたらしい。
「す、すみません。」
平謝りに謝り、2人はその日もなんとか始末書で許してもらう。
「何よーー!今日のウイルスって・・亜種なんじゃない?」
席に戻ってチェックした久美子が小声で怒ったように叫ぶ。
「え?亜種?」
「そうよ!あの時点ではまだ発見されてないか、発見したばかりだから、どうしようもなかったってこと!」
「でもさ・・・それでもやっぱり配っちゃ、会社の信用問題だよね?」
うーーん、と2人は頭を付き合わせて考える。
それはもっともだが、どうしようもないことも確かである。
「あーあ・・・やっぱ免許取得してせめてケーブルエンジンカーにしないとだめね。」
「そうねー・・・いつまでもアナログエンジンカーじゃ、ノルマも十分こなせないし。そうすればハッカーの追撃も振り切れるかも。」
「そうねー。いつまでもC級ライセンスじゃ、バカにされるし。」
「うん。いくら営業ライセンスでもね。」
「どうする?今度の週末、講習あるって聞いたけど?」
「うーーん・・。」
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毎日が戦争だった。
その為週末は遊ぶどころか、バタンキューなのである。
2人は中継地(アクセスポイント)で見た上のハイウェイを行く流線型の格好いいADSLカーを思い出していた。
「き~~!・・もう・・ぐやじ~いっ!」
「不景気だから他に仕事ないし。」
「そうねー。今更仕事変えるわけにもいかないわよねー?」
「だいたいあなたがいけないんじゃない?」
「え?なんで?」
「デリバリー会社に勤めれば、出会いが増えて選りどりみどりだって言うから!」
「あら!だって、普通じゃ行けない遠くの星とか異空間にあるコロニーへ行けるのよ?
限られたところより、広範囲の方が、出会いの幅も広くなるに決まってるでしょ?」
「・・・・出会うのは海賊(ハッカー)や暴走族(デベロッパー)ばっかりだけど・・・・」
「・・・・・・」
大きくため息を付き、久美子と千里は、疲れた身体にむち打ち、家路についた。
第2話はこちら↓↓↓
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スペース・デリバラー2・次元航路を出ると、そこはファンタジーの世界だった
スペースデリバリー社という空間宅配会社に入社した久美子と千里。 宇宙空間だけでなく異空間のコロニーまで行けるという”空間配達人”というその職業は、あこがれの職種でもあった。 だが、現実は厳しく、単に配 ...