闇の紫玉

闇の紫玉/その31・遺跡の神官

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案内人を得て、地下へと進むことができたゼノー。
が、またしてもそこは迷路になっていた。どこを通っていったら遺跡の神官のところへたどり着けるのか全くわからない。

闇の紫玉、その31・遺跡の神官

このページは、異世界スリップ冒険ファンタジー【創世の竪琴】の番外編【闇の紫玉(しぎょく)】のページです。
闇王となったゼノーのお話。お読みいただければ嬉しいです。
異世界スリップ冒険ファンタジー【創世の竪琴】の番外編【闇の紫玉(しぎょく)】、お話の最初からのINDEXはこちら

首を持つ女戦士の出迎え

ランチュラは、ゼノーを地下へに入口まで案内すると、それを待ち焦がれていたかのように、グレンデルの元へと姿を消した。

ゼノーは、しばらくその戸口にじっと立って考える。

様々な霊魂と闇の者が潜む地下迷路。
それらを退け、迷路を進んで行く事には自信はあった。

遭遇するモノが闇の者なのなら、ゼノーの敵ではない。
戦う必要はないのだ。

彼らにしてもゼノーが闇王だと最初から分かっていれば、襲っては来ないはずだ。

ゼノーは何とか戦わずに済まないものかと考えた。
そして、迷路に迷わず無事に行き着くことを。

ふと、彼は最下層に神官がいるとホル・エン・アケトから聞いた事を思い出した。

遺跡を治めていると思えるその神官と意思を通わす事ができれば、戦うわず行けるかもしれない。

彼にこの遺跡にいる者たちに伝令してもらえば、そう思ったゼノーは一歩戸口から中に入ると、そこに座り、意識を集中し始めた。

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じっと座り闇の気を張りめぐらす、それがどれほど続いただろう。

その間、いろいろな霊魂や闇の者と通ずる事ができた。
が、肝心の神官の意識には届かない、ゼノーはひたすら気を張りめぐらし続けていた。

「闇王様・・・」

突然、呼ばれたゼノーはその目を開けた。
その彼の前に、左右に羽のついた兜をかぶった女戦士らしい顔が浮いていた。

「お前は?」

血を思わせる真っ赤な髪と死体を思わせる灰色の瞳。
首から下は繋がっていないその女は、後ろに鎧を着込みマントを纏った自分の身体を控えさせていた。

「私は、ラハンデゥル。
闇王様を神官、エンキムラマッス様の元までお送りしたく、参じました。」

「神官の所まで?」

「はい。この遺跡の地下半分は、第二層に属しております。
故に、闇王様の呼びかけにお応えする事もあたわず、また、闇移動もご無理かと存じます。」

「では、どうやって私をそこまで送って下さるのですか?」

ゼノーがゆっくりと立ち上がると、跪いていたラハンデゥルの身体も立ち上がり、その首を左手で小脇に抱えた。

「このコシュタ・バワーにお乗り下さい。」

右手で指し示された所を見ると、黒い靄が現れ、徐々に黒銀の二輪馬車を形作っていった。

「デューラ、ハーン。」
ラハンデゥルが呼ぶと、二頭の首のない黒馬がその馬車の前に現れた。
そのたてがみは、ラハンデゥルの髪と同じ血の赤。

「さあ、お乗りください、闇王様。」
ラハンデゥルは、纏っていた灰色のマントを馬車の座席にひくとゼノーに乗るようにと勧めた。

「ありがとう。では、よろしく頼みます。」

ゼノーが馬車に乗り込むと、ラハンデゥルは馬車の前に立ち、銀の手綱を握った。

「少し揺れますが、お許し下さい。」

「ヒヒヒーーーーン!」
馬の嘶きと共にガラガラと音を立て、馬車は動き始めた。

通路一杯の大きさのその馬車は、薄暗い地下迷路をどんどん進んでいく。
行く道々、様々な霊魂や闇の者が現れ、ゼノーに額ずいた。

中にはゼノーが闇王だと思わず、襲いかかろうとした者もいたが、ラハンデゥルのその鋭い一睨みで萎縮し、消えていった。

そして、時折、ラハンデゥルの首はゼノーの座っている所に飛んできて、この遺跡の事をいろいろゼノーに話した。

その昔、この遺跡は前闇王の居城であり、闇の世界の中心だった。
そして、この地下迷路にはいろいろな種族が仲良く住み、とても賑やかな所だった。

前闇王は、人間界から姫巫女を連れてきて、彼女を住まわす為に浮遊城を造ったが、ここの事は忘れず、度々訪れては闇の住人の申し立て等に耳を傾けていたという。

「では、前闇王が亡くなってからなんですね、この荒廃は。」

「はい、・・その通りです。」

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遺跡の神官、エンキムラマッス

「さあ、着きました。ここが神官、エンキムラマッスのいる部屋です。
お探しのムーンティアも彼が所持しているはずです。」

どこまでも続くかと思われた暗い道・・その終点である重厚な漆黒の扉の前、ラハンデゥルは馬車を止めて下りると、跪いた。

「ありがとう、ラハンデゥル。」
馬車を下りるとゼノーは二頭の馬の元へ近づきその首を撫でた。

「ご苦労さまでした、デューラ、ハーン。」

「ヒヒン・・ブルルルル・・」
2頭は嬉しそうに嘶いた。

ラハンデゥルはそんなゼノーを嬉しそうに見つめていた。

「では、闇王様、私たちはこれで。」

「ありがとう。またお願いしますね。」

「はい。」

ガラガラガラと音を立て、再びラハンデゥルはデューラとハーンを駆り、馬車と共に姿を消した。

-ギギギギギーーー-

その大扉を押し開き、ゼノーは中に入った。
そこは、奥が見えないほど広いドーム状の部屋だった。
漆黒の大理石でできたその部屋はゼノーの全身を写していた。

-カツーン、コツーン-

ゼノーの足音だけが部屋に響きわたる。

奥の祭壇に水晶で作られた柩が一つ横たわっていた。
それに近づいたゼノーはその中に鳥の顔をした人間を見つける。
その衣装は、漆黒の布に金銀で縁取りされた物で作られている。

「この人が神官、エンキムラマッス?」
胸の上で合わされた彼の手にはムーンティアが光っていた。

「どうしたら目を覚ますのだろう?」
柩の蓋を取り、ゼノーはじっとエンキムラマッスを見ていた。

闇の気を与えればいいかもしれない、と思ったゼノーは、エンキムラマッスの胸に手をかざした。

と、その時、指輪が光り、彼が持っていたムーンティアを吸い込んだ。

「ムーンティアが勝手に?」
驚いてその指輪を見ていたゼノーの前、エンキムラマッスがゆっくりと起き上がる。

「闇王様・・」
エンキムラマッスは柩からでると、ゼノーの前に跪いた。

「時は満ちました。闇王様、今こそ、闇の貴石への道が開かれるでしょう。」

立ち上がり、彼の四枚の羽根を大きく広げ、エンキムラマッスは光り続けているゼノーの指輪に、厳かに呪文を唱え始めた。

「男神より分かたれ、遥か太古より息づきたるこの世界の創世主・・・闇の貴石なる紫玉よ、今ここに我等、そなたの分身を受け入れ、真の闇王となす為、願う・・女神ディーゼの力を借り、そなたへの道をここに開き・・・新たなる闇王の誕生を。」

七つのムーンティアを吸い込んだ指輪が、眩い光を放ち、辺りを照らした。

そして、ゆっくりとその光りは小さくなっていき、ゼノー一人を包み込み、数秒後、ゼノーの姿と共に消えた。

再び暗闇に覆われた部屋でエンキムラマッスはその場に座ると瞑想に入った。

 

▼その32につづく…

闇の紫玉/その32・太陽神のイヤリング

神官・エンキムラマッスの呪文により、闇王への道が開かれ、全身を包み込んだ光と共にゼノーは、神官の部屋から消えうせた。 Contents1 闇の紫玉、その32・太陽神のイヤリング1.1 太陽神と女神ディ ...

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