闇の紫玉

闇の紫玉/その28・黄金の砂漠

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世界樹の女神の三姉妹による不思議な魔法で、心身ともに大人に成長したゼノーはさっそくヴォジャノーイ族の元へと移動した。

闇の紫玉、その28・黄金の砂漠

このページは、異世界スリップ冒険ファンタジー【創世の竪琴】の番外編【闇の紫玉(しぎょく)】のページです。
闇王となったゼノーのお話。お読みいただければ嬉しいです。
異世界スリップ冒険ファンタジー【創世の竪琴】の番外編【闇の紫玉(しぎょく)】、お話の最初からのINDEXはこちら

銀色の空と黄金の砂

ゼノーはヴォジャノーイ族が選んだその中の一人に闇の気を与えて女王にし、約束どおりムーンティアをもらうと、第三層へ来ていた。

「あと二つ・・・」

ゼノーは、黄金に輝くその砂漠を見渡しながら考えていた。
銀色の空と黄金の砂。見渡すかぎり何もいないようだった。

「何処かにオアシスがないでしょうか?」
ゼノーはそう呟くと、その身を闇に溶かした。

底の金色の砂まで見通せるほど透明に透き通った湧き水のオアシス。
ゼノーは、その泉を囲む草木の間を歩いていた。

「目が休まりますね。」
灰色の草、漆黒の木、灰緑の葉が、ゼノーには新鮮に見えた。

「あまり輝いているのも問題ですからね。」
相変わらず地面の砂は金色、見上げる空は銀色だった。

一人呟きながら、そのオアシスを歩いていたゼノーは、何かの骨の固まりを見つける。

「何だろう?」
その頭蓋骨を手にして見たゼノーは、その蛇のような鋭い牙やそれに続く長い背骨、二本の手の骨で、それが半人半蛇の者だと判断した。

ゼノーは自分の手の平を精神波で切ると、その鮮血を骸骨の口に流し込んだ。

すると、みるみる間に骸骨はその肉体を取り戻していき、下半身が蛇、上半身が人間の美しい女となった。

その身体が元に戻ったその女は、ゼノーの手の切り口にむしゃぶるようにしゃぶりつく。

そしてその血が止まると共に、ようやく我に返った女は、そっと口を離した。
その切り口は跡形もなく綺麗に消えている。

「も、申し訳ございません。
わたくしは、レイミアと申します。」
慌ててゼノーの前に跪き、女は言った。

「闇王様の血をいただき、こうして復活できるとは、思ってもみない光栄でございます。
心より御礼申し上げます。感謝のつくしようもございません。」

白い肌に真っ赤な唇が印象的な緑の瞳の女だった。
その長い髪は下半身の背と同様の深緑で、レイミアの豊かな胸を隠すように覆っていた。

「お願いがあるのですが、よろしいでしょうか?」
ゼノーはレイミアに微笑みながら言った。

「はい、何なりとお申しつけ下さいませ。」
深々とその頭をたれ、レイミアはゼノーの命を待つ。

「ムーンティアを探しているのです。
この第三層のどこかにあるはずなのですが、あなたに分からないでしょうか?」

「しばし、お待ちくださいませ。」
そう言ったレイミアは、やおら自分の左目にその指を入れると眼球を取り出した。

「すぐにお探し致します。」
その眼球はレイミアの手を離れると、ものすごい勢いで地を這うように飛んで行った。

「一つより二つの方が。」

レイミアは右目をもくり抜くと、反対方向にそれを飛ばした。
ゼノーは黒い空洞となったレイミアの目をそっと撫ぜるとその瞼を閉じさせる。「あ、ありがとうございます。」
瞳のない目から涙が一筋流れ、レイミアは自分の瞼を撫ぜたゼノー手をそっと取ると、しばらく自分の膝で休む事を勧めた。

横になり、温かい膝・・ではなく、ひんやりしたそのレイミアの膝(?)の上にゼノーは頭を乗せると目を閉じた。
オアシスから吹き上げ、草木の間を通り抜けてくる優しい風がとても心地よかった。

「闇王様・・闇王様?」

いつしか眠ってしまっていたゼノーは、レイミアの声で目を覚ました。

ふと見上げたレイミアの顔に両の緑の瞳が戻っていた。
「それで、ムーンティアはありましたか?」

ゼノーは、そのままの姿勢でレイミアに尋ねる。

「はい、闇王様。この先の遺跡を守っているホル・エン・アケトの額の中央にございました。」

レイミアは、にっこりと薔薇の大輪のような微笑みを浮かべて答えた。

「ホル・エン・アケト?」
ゼノーはゆっくり起き上がると、レイミアを見た。

「はい、遺跡を守る天空の神、ホル・エン・アケト。
腕の代わりに鷲の翼を持ち、人間の女性の姿をしております。
下半身はライオンの物なのでございますが。」

「では、早速そこへ・・」

「いえ、日中は銀色の石像となっております故、話すことは不可能です。
無理に額からムーンティアを取ることもできないようですので。」

早々とホル・エン・アケトの元へ行こうと立ち上がったゼノーを制してレイミアは言った。

「夜になれば動きだします。それからの方がよろしいかと。」

「そうですか・・では、今少し休ませてもらえませんか?」

「はい。」
レイミアは自分の膝に頭を置き、再び休むゼノーの横顔を見ながら微笑むと、寝ているゼノーにも聞こえる心地よく響く子守歌を口ずさんだ。

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ホル・エン・アケトの元へ

夜、銀色の空が黒銀に代わり、ゼノーはレイミアの案内でホル・エン・アケトの元へ急いだ。

「あれが、ホル・エン・アケトがいる遺跡でございます。
わたくしは、彼女とはあまり仲がよくありませんので、ここで失礼させていただきます。」

ホル・エン・アケトの守る遺跡の見える場所まで来ると、レイミアはゼノーに深々とお辞儀をし、立ち去った。

その遺跡の正面、入口の右にホル・エン・アケトは座っていた。

金色のライオンの胴体に人間の女性の上半身がついている。

銀色の鷲の翼を大きく広げ、黒銀の髪と瞳、そして銀色の肌のその女性は近づくものを何一つ見逃すまいとじっと辺りを見ていた。

 

▼その29につづく…

闇の紫玉/その29・闇の遺跡を守るモノ

銀色の空と黄金色の砂地の砂漠エリア。 オアシスで復活させた半身蛇、半身女性のジイミアから、砂漠の遺跡を守るホル・エン・アケトの額にあると聞いたゼノーはさっそくそこに向かう。 Contents1 闇の紫 ...

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