月神の娘

続・創世の竪琴【月神の娘】5・姫巫女の決意

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いつまでこうして忘れ時の塔に幽閉されているのか、シアラの心の中にいるままなのか不安になってくる渚。
と、ある日不意に塔の壁に亀裂が走る。

月神の娘/5・姫巫女の決意

このページは、異世界スリップ冒険ファンタジー【創世の竪琴】の続編、【MoonTear月神の娘】途中の展開です。
渚の異世界での冒険と恋のお話。お読みいただければ嬉しいです。
(異世界スリップ冒険ファンタジー【続・創世の竪琴・MoonTear月神の娘】お話の最初からのINDEXはこちら
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迎えに来た者

-ピシッ・・・・ピシッピシッ!-

そんな日々が続いていたある日突然、壁に亀裂が入った事に気づき、シアラは、そして渚は目を見張ってその亀裂を見つめていた。

そんなことはあり得ない事だった。
塔の強度は確かなものであり、そして、窓から眺め得る外は穏やかな青空を見せている。
暴風雨によるというわけでもないようだった。

しかも周囲を幾重もの結界で守られているそこは、何人も近寄ることもできるはずはなかった。

-ビシッ!・・・ガラガラガラ・・・・-

一際大きく亀裂が入ったその途端、塔は崩れ始める。

「え?」
その崩れ落ちる瓦礫は、まるでそこに意志があるかのようにシアラを避けて落ちていく。

「シアラ。」

「あ・・なた・・は・・・・」
塔がすっかり崩れ落ち、呆然とそこへ立ちつくすシアラの視野に入ったのは、誰あろう闇王その人の姿。

-ブン!-

と、その時闇王の背後に次元の扉が現れる。
だが、闇王は背後などに気をとられることなく、シアラの元へテレポートする。

「来るか?」
手を差し伸べて目の前に立つ闇王のやさしい微笑みと熱い視線。
シアラの答えは迷いようがなかった。

「はい。」

次元扉が開き、神殿の僧兵が向こう側から雪崩のごとく出てくる様をその視野の片隅に見ながら、シアラは闇王の腕に、そして、闇にやさしく包まれるのを感じていた。

そして、再び明るくなったそこは、どこかの建物の一角、その部屋の中央の魔法陣の上。

「私の城だ。」

「あなたの?」

「そうだ。今日から私とそなたの城だ。」

手をひかれバルコニーへ出る。

「ここ・・は?」
赤、黄、黒の3色が入り交じった空。
そして、眼下に茶と灰色と黒の広大な草原と森が広がっていた。

「闇・・・世界?」

外の景色からゆっくりと自分に視線を向けて聞いたシアラに、闇王はにっこりと微笑む。

「そうだ。7層からなる闇の世界の第7層、つまり一番上の層に今この浮遊城は浮いている。」

「7層?」

「闇世界で一番人間界に近いところだ。」

闇王は改めてシアラをじっと見つめる。

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姫巫女の決意

「・・シアラ・・。」

「はい?」

「今一度聞く。人間界を捨て、私と一緒にここにいるか?
返事によっては・・今なら返すことができる。
もし、帰りたいと願うのなら・・・」

「いいえ。」
真剣な闇王の瞳をシアラも真剣な瞳で見つめ、はっきりと答える。

「闇王様の傍が私のいるところです。」

それは塔の中でずっと考えていた事だった。
恋する人の元と、もはや自分はその価値がなくなってしまった神殿(人間界)とでは、答えは一つしかない。
全てを捨てても目の前の人の傍にいたい、シアラはそう思っていた。

「シアラ。」

「闇王様。」

幸せそうな2人に渚は感動しながら、目の前の闇王を見つめ、そして、イルに想いをと飛ばしていた。

 

▼月神の娘・その5へつづく

続・創世の竪琴【月神の娘】6・月神の巫女

闇王の居城に連れてこられたシアラ、と、彼女の中にいる渚。 己の身分も人間界も全て捨てて闇世界で闇王と暮らす決意をしたシアラ。 でも、その幸せそうな2人の姿に、自分とイルオーシムを重ね見て、疑似体験とは ...

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