月神の娘

続・創世の竪琴【月神の娘】3・幽閉

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再びゲームの世界へ。いや、恋しい人イオルーシムの世界に来たのかもしれないという期待は裏切られたものの、目の前で展開していることに気を取られる渚。
自分が今入っている姫巫女の恋にどうしても同調してしまう。

月神の娘/3・幽閉

このページは、異世界スリップ冒険ファンタジー【創世の竪琴】の続編、【MoonTear月神の娘】途中の展開です。
渚の異世界での冒険と恋のお話。お読みいただければ嬉しいです。
(異世界スリップ冒険ファンタジー【続・創世の竪琴・MoonTear月神の娘】お話の最初からのINDEXはこちら
月神の娘のこの前のお話は、ここをクリック

唐突の恋

「姫巫女様・・・今なんとおっしゃいました?」

祈りをするでもなく、床に座り込んでいた彼女に気づき、走り寄ってきた中年の巫女がシアラの言葉に驚いて叫ぶ。

「ですから・・・私、巫女王にはなれません。
・・・祈れないの。・・・何も考えられないのです・・あの方以外・・・・。」

「ひ、姫巫女様?!・・そ、そんな・・・巫女王となるべく明日から禊ぎの儀式が始まるのでございますよ。
そのような得体も知れぬ男に心をまどわされるなど・・・・」

「でも、シャモーラ、私・・・・」

シャモーラと呼ばれたその巫女の顔色は完全に失せ、絶望で全身が震えていた。

涙目で自分を見つめているシアラの想いは本物だとシャモーラには分かっていた。

だが、巫女は、とくに巫女王となるべき者は純真な心でなくてはならない。
慈愛というのなら問題はないのだが、男に心を囚われるなどという事態は決してあってはならないことであり、今のシアラの状態は許されることではない。

「失礼致します!」
ノックと共に、一人の巫女がシャモーラに駆け寄り、その耳に何かを告げる。

「な、なん・・ですって・・・!」
驚いてその巫女から少女に向けたシャモーラの瞳は大きく見開かれていた。

「な、何かの間違いなのでは?」
そして、再びその巫女を見つめる。

「いいえ、残念ですが、地下神殿におられます現巫女王様からのお言葉でございます。」

「何か?」

「あ・・・・・」
シアラに聞かれ、シャモーラはその一瞬答えを戸惑う。
それは、口にするのも恐ろしい言葉。

「シャモーラ?」

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巫女王の決断

-バタン!-

「え?」
不意に開けられた戸口から女性僧兵が走り込み、シアラを取り囲む。

「お、お待ちください!」

「待てぬ!魔王の思い人となった者をどうしてこのままにしておけるというのだ?」

はっとしてシアラを庇おうとするシャモーラを、僧兵長と思える女がきつく睨む。

「姫巫女様には大変失礼かと存じますが、これも私共の職務。
しばしご辛抱くださいますよう。イキウラ、拘束服を。」

「はっ。」

「あの、これはどういう?」
僧兵の一人が拘束服を自分に着せようするのに対し、シアラはその前に僧兵長へ聞く。

「まだお話にはなってないのですか?」
沈んだ表情で頷くシャモーラに、彼女はため息を付いてから改めてシアラを見つめる。

「先ほどあなた様が中庭で会った男が問題だったのでございます。」

「・・・あの方が何か?」

「あの男は闇王なのでございます。」

「闇・・・王?」

「そうです。巫女王様からご指示がございました。
闇王があなた様を奪う為、必ず再びこの神殿にやってくると。」

「私を?」

「そうです。巫女王の座の引継も延ばされるそうです。
そして、我々僧兵にあなた様の身柄をお守りするようにと。」

「守る?」

「そうです。拘束服といっても、身動きがとれないというものではありません。
これは気を消す印呪が施されております。
あなた様には安全が確認されるまでさる塔で過ごしていただきます。」

「さる塔?・・・ま、まさか『忘れ時の塔』では?」

シャモーラの言葉に、僧兵長は、仕方なくそうだ、と目で答えた。

「そ、そんな。それではまるで罪人扱いではありませんか?」
シャモーラが叫ぶ。

「安全が確認されるまでと申し上げました。
それに、我々は命じられた事を遂行するまで。
全ては巫女王様のお心のまま。」

「で、では、せめて私も一緒に。」

「塔内には衣食住、何一つ不自由のないよう整っております。心配は無用です。」

あくまで同行しようとするシャモーラを制し、僧兵たちは転移の門を使い、シアラを塔へと移した。

そして、その回りに幾重もの結界を張り巡らせるとそこを後にする。
次代の巫女王となれる強力な巫力を持つ巫女姫を闇王に奪われない為に。

忘れ時の塔・・・・そこが世界のどこに位置するのか、正しい位置は誰も知らなかった。

ディーゼ神殿の地下にある転移の門、そこからしか誰も行ったこともなかったし、行った者も悠久の昔から数えてみても、ほんの数回あったのみで、ある意味、流刑の地と言っていいものであることは確かだった。

 

▼月神の娘・その4へつづく

続・創世の竪琴【月神の娘】4・忘れ時の塔

忘れ時の塔へ幽閉された姫巫女、シアラ。 シアラの中にいる渚のことは、シアラも感じていた。 Contents1 月神の娘/4・忘れ時の塔1.1 シアラからの注意1.2 同調する恋心 月神の娘/4・忘れ時 ...

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