創世の竪琴

創世の竪琴/その14・襲い来る守護獣

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-カチャリ-
(前の話、創世の竪琴その13は、ここをクリック

鍵はかかっていなかった。

扉を開けると一本の通路が真っ直ぐ延びていた。そこは、それまで暗い階段を下りてきた渚には眩しく思えたほど明るかった。
床、壁、天井、全て淡い光を放っている。

「光り苔がびっしり生えてる!それに、これって・・水晶・・エメラルド?・・・・・きれい・・・。」

渚はしばらく全ての事を忘れ、壁、天井など辺りを見渡しながら、その美しい光の中をゆっくり歩いていた。

「扉だわ。・・あっあの紋章!竪琴と剣の・・・きれい・・・」

行き止まりのそこは水晶でできた大きな扉があった。

渚があけようと手をかけると、扉はひとりでにまるで渚を迎え入れるように開く。

ゆっくりとそして引き寄せられるように渚は部屋に入る。

一段上がったその部屋の中央の台座の上で、クリスタルが光輝きながら宙に浮いている。

もう一段上がると、その後ろの壁には女神ディーゼと思われる女神像が純銀で描かれてあった。

その右横の台座の上には銀の竪琴がついたイヤリングが、左横の台座には銀の長剣がついたイヤリングがそれぞれクリスタルの入れ物に入れて置いてある。

「竪琴と剣で一組のイヤリングになるわけよね。女神様の装身具ってところね。
で、肝心な『武具』はどこにあるのかしら?それと守護獣はどこに?」

渚は部屋のあちこちを見ながらクリスタルの横を通り女神像に近づいていった。

「とってもやさしそうな顔をして・・素敵な女神様・・・。」

他の出口はどうやらなさそうだ。渚は女神像やイヤリングを見てから、クリスタルを見に近づいていった。

クリスタルをよく見ると、中心に小さな動物らしき物がいることがわかった。

「何なのかしら、これ?」

渚は恐る恐るクリスタルに触れてみた。どうやら何ともないらしい。
顔をぴったりとクリスタルにくっつけてよーく見る。

「犬?それとも狼?・・・?でもこれも銀色だなんて・・・あっ、もしかしたらこれが守護獣?・・寝てる・・のかな?・・・。」

クリスタルを揺すってみたり、コンコンと叩いてみたりしたが、一向に中の犬は起きる気配がない。

「おーーい、守護獣様あ!起きてよおっ!」

「こんにちわあっ!」

呼びかけても無駄のようだ。渚は溜息をつくとそこに座り込み、女神像、イヤリング、クリスタル、と交互に見入っていた。

ふと何気なく立ち上がると、渚は竪琴の方のイヤリングを手に取った。

よく見ると金属かと思われた竪琴の弦、それは光輝く見事な銀糸だった。

「鳴らないかしら、これ?」

そう思った渚は、小指で爪弾いてみた。

-ピン、ピン・・・・・。-

「やっぱりこんなおもちゃのようなものじゃ鳴らないみたいね・・・。」

と、突然、クリスタルの光りが増し、眩しくて目が開けていられないほどになった。

『竪琴を弾いたのは、お前か?』

部屋中に轟き渡るその声に、渚が恐る恐る目を開けると、そこには部屋一杯の大きさの銀色の狼がいた。

「そ・・・・そうです。」

『何しに来た?』

そのきつい口調と視線は、どう思ってもこちらに好意を抱いているとは思えない。

守護獣に会えさえすれば、全て旨くいくと思っていた渚は焦った。

「な、何しにって・・・・・女神様の武具を貸してもらおうと・・・・」

『我が主、ディーゼ様の武具を・・・だと?人間如きが?』

「黒の森が現れたのよ!このままだと人間は滅ぼされてしまうわ!」

『ふん!黒の森・・・か。だいたい黒の森が現れたのもお前たち人間が、神を忘れ去ったせいだろう?言わば自業自得だ。
見よ、この荒れ果てた神殿を。
祈りを捧げてくれる巫女一人もいないではないか!我等に人間を助ける義務はないわ!』

「で、でも・・・忘れていない人がいるからこうして・・・」

『困った時の神頼みというわけか・・・・。千年前も手助けをしたが、結局この有り様だ・・・。』

「・・・・・で、でも・・・・。」

『だが・・・・・そなたは、その竪琴を弾いた・・・。』

しばらく考えてからそう呟くとその狼は低く唸り声を上げた。

すると、一瞬目の前の空間が歪み、気づくと部屋はなく、渚の目の前には無限の空間が広がっていた。

女神像とイヤリングの置かれた台座が、だだっ広い空間にぽつんと置かれている。

『行くぞっ!』

その声と共に狼は渚目掛けて襲いかかってきた。

「きゃあっ!」

避ける間もなく渚は地面に打ち倒される。

「ちょ、ちょっと待って・・・・。」

全身を地面で打ち、その痛みを堪えながら渚はなんとかその狼と話そうとする。

だが全く聞く耳は持たない。

狼は体当たりで、鋭い爪で、そしてその口から吐く業火で攻撃を繰り返してきた。

「そ・・・そんな・・・魔法の玉はイルにあげてきちゃったし・・・地下神殿にさえ入ればもう

大丈夫だって、モンスターはいないからって言ってたのに・・・」

たった一つの武器である短剣も狼は物ともしない。簡単に渚の手から振り落とされてしまった。

「な、何で私がこんな目に会わなくっちゃならないのよお?何で?・・・おかあさん・・おとうさん・・・・助けて・・・・誰か・・・・・」

渚は、立ち上がる気力もなく、火傷と怪我の痛みで動くこともできなくなっていた。

『渚ーっ!』

もう駄目だ、と諦めかけた時、イルの渚を呼ぶ声が聞こえた。自分だけモンスターの集団の真っ

只中に残ったイルの悲鳴にも似た叫び声だった。

「そうだ・・・こんなとこで死んじゃ・・・死んじゃいけないんだっ!」

渚は台座にもたれてなんとか立ち上がると、クリスタルの箱からイヤリングを取り出した。

「こ、これ・・・・ロングソードのイヤリング・・・・ゲームならこれが本物の剣になったりして・・・本当にただの装身具だったらやばいけど・・・。」

渚はそのイヤリングを自分の耳に着けるとその小さな剣の柄をぐっと摘んだ。

そして、剣を抜くべく、祈るような気持ちでそれを引っ張った・・・・

 

▼その15につづく…

創世の竪琴/その15・女神ディーゼの加護

「こ、これ・・・・ロングソードのイヤリング・・・・ゲームならこれが本物の剣になったりして・・・本当にただの装身具だったらやばいけど・・・。」 渚はそのイヤリングを自分の耳に着けるとその小さな剣の柄をぐ ...

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